お世辞にもスレンダーとはいえない彼女は、それでも付き合い始めた頃はそれなりに痩せていた。だが三年間で二十キログラムは増えている。
日頃から"痩せろ"だとか"肉が……"だとか冗談半分で言い続けているため、多少なりとも気にはしているらしい。
ベッドに横になっていると、リビングからバタバタとわざと足音を立てながら向かってきた。
「みゃ。みゃ。みゃ。みゃ」
「何の音?」
「足音だよ」
彼女の足音は毎日変わる。
「朗報ぞ」
腰に手を当て、ふんぞり返った。
「痩せたった」
「誤差の範囲内」
即答した途端に足蹴にされ、腹肉をつままれる。
「脂肪はつまむと潰れるらしいぞ」
ダイエット、しようか。
了
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