12.愛の為に
「オズが、君が望むなら全力で逃がしてやる。って!!」
今日の夕飯を買ってドアを開けると、玄関まで出迎えた彼女がそう口走った。
「普段は飄々としているのに本気を出すと怖いんだぞ!! さらりとウインクしちゃうモテ男だぞ!!」
以前から散々勧められては断り続けているゲームの話らしい。近頃この話ばかりしているので、そのゲームの事をこっそりと『ニート製造機』と呼んでいる。
「大人の余裕で守ってくれるぜ!! たまに振り切れて時間止めちゃうけど」
興奮しきった彼女は僕の行く先々に付いてきて話し続けている。
「そんな格好いいオズの為に課金という名の献金をしました」
トイレの前で待つ彼女は現在無職です。
了
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