借りたケーブルで早速充電した翌朝、スマホの充電残量は五十八%しかなかった。
その日の夜、今度は自分が使ってみる。と言い、今まで使っていたケーブルを貸してくれた。
朝、家を出た直後に届いたメールには、スクリーンショットの画像なのであろう。電子歌姫の壁紙が表示された。
「充電が!!」
画像の下には短く文字が連なっている。
「やっぱりケーブル買わなきゃね」
そう返信すると、全く関係のない文章が返ってきた。ニュース番組を観ているらしい。
仕事が終わり帰宅すると、ソファーの肘掛けに顎を乗せていた彼女が近寄ってくる。
「あのね。充電ね、出来なかったよ」
どうやら朝の会話を忘れていたようです。
了
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