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言葉について

おれは、言葉が世界を、感情を、完璧に言い表せないことが、すばらしいことだと思う。完璧に言い表せないって分かっててもなお俺たちは言葉を使うしかないし、言葉で伝えるしかなくて、なんとか上手く表現しようと日々もがく。それで、完璧じゃないながらもしっくりきたり、誰かと共鳴できたりする。
「どうしても到達できない本質X」みたいな概念って、哲学の分野ではよくあると思う。例えばプラトンのイデアとか、カントの物自体とか。人間は、到達できないって分かっていながらも、そのXを追い求めずにはいられない生き物なんだと思う。本当の自分、理想の恋人、生きる意味、幸せ、神。手が届かないとわかっていながらも手を伸ばす。もがく。俺はそれがすごく美しくて人間らしくて素晴らしいことだと思う。
で、「世界や感情を言葉で表そうとすること」も、この「手の届かないXにそれでも手を伸ばし続ける営み」のひとつなんじゃないかな。到達出来ないからこそ、その営みに終わりも完成もない。言いたいことを完璧には言えないし、愛も感謝も上手く伝えられない。それでも、自分なりの、自分だけの言葉を探し続ける人間のあり方を俺は美しくてかっこいいと思うし、そうありたいと思う。俺は言葉を信じてる

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