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エモくならない頻度

ゴールデンウィークに中学時代の友達2人と会った。

当時は同じサッカーチームに所属していて、3年間文字通り苦楽を共にした。良いところも悪いところも、かっこいいところもださいところも、好きも嫌いも、お互いにうんざりするほど知り尽くしてる。気が合うからずっと一緒にいたのか、ずっと一緒にいたから気が合うのか、今となってはもうわからない。わからないぐらい一緒にいたし、わからないぐらい気が合うのだ。

久々に3人で過ごす時間はめーっちゃくちゃ楽しくて、あっという間に過ぎた。俺が1番落ち着くのはここだな〜としみじみ感じた。落ち着くというか、すぽっとハマるイメージ。僕が何も気にせず思ったことをそのまま言えば、それで会話がくるくる回っていくのだ。鉄板の思い出話で爆笑したり、近況報告しあったり、おすすめされた柴田聡子を爆音で流しながら自転車漕いだりした。美味しい串かつ食べて、日が沈んで、鴨川沿いでカップラーメンも食べて、食べながらくるりのワンダーフォーゲルとか聴いた。まじで特別な夜だった。2人も特別な夜だなって顔してたし、街も特別な夜ですよって感じの光を放ってた。3人とも再会を心から喜んでて、言葉にせずとも互いにそれを感じてた。それがとても嬉しくて、少し寂しかった。寂しかった。

だって、そんな僕らじゃなかったはずだ。

あの頃の僕らはいつも退屈で、気怠くて、話すことなんてなくて、ただ一緒にいた。毎日同じような、サッカーの話や、チームメイトの話や、女の子の話をしていた。いつも通りのイジりをして、いつも通りのリアクションをして、いつも通り笑って、そんな僕らを常に鈍い退屈が満たしていた。

そんな僕らだ。特別な夜、なんて柄じゃなかったはずだ。あの頃のように一緒にいる、ただそれだけでいつもクールな彼が子供みたいにはしゃいでたのが、やっぱりちょっと寂しい。痩せ細った身体で声を枯らして叫んでいたロックンローラーが、曲が売れて、だんだん太って、丸みを帯びた顔に微笑みを浮かべて幸せそうに弾き語りをしてる、みたいな寂しさだ。いや、ちょっと違うかも。言いたかっただけかも。

僕たちはそれぞれ別の道を進み、それぞれの人生を生きている。で、たまにまた集まって、特別な時間を過ごす。本当に、素晴らしく幸せなことだ。でも、繰り返しになるけど、「特別」なんて言葉が似合う俺らじゃなかったはずなんだ。

って思ったから短歌を作った。

「特別」は似合わないから再会がエモくならない頻度で会おう


別にあの頃に戻りたいって言ってるわけじゃない。実は僕らは、ここまで読んでくれたあなたが思うより、多分ずっと近くにいるのだ。僕が京大、1人は同志社、1人は立命館。全然、ぜんっぜん会える。余裕で会える。だから、年1,2回会って最高な夜を過ごすんじゃなくて、もっとちゃんと連絡して、もっとちゃんとまめに会って、そこそこの夜をちょくちょく過ごそうぜって、それだけなのだ。

とはいえ、なんだかんだでダレてなかなか会えないのが僕らな気もする。まあそれもそれでいい。
あなたに会えても会えなくても、僕はあなたのことが大切で、それなりに悩みながら、それなりに楽しく生きています。ひとまず平気です。日々は続きます。おわり。

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