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なぜ手話は学びづらいのか

こんにちは、くつばこのりこです。手話技能検定が1か月後に迫っています。
そんな私にとって、このトピックは超大切。
今日は「なぜ手話が学びづらいのか」についてです。

☆手話は人気の言語

最近、手話を学ぶ人が増えているといわれています。手話を言語として利用する人の数は、一説によれば8万人。(このデータの正しさは疑問ですが)他の言語に比べても、引けを取らない人数が手話を生活の中で使っています。オリンピックのオンラインコンテンツでも、言語設定に「英語」と並んで「手話」がありました。そして、短いフレーズだけでもいえるようになりたいと教室に行く人も増えているように思います。手話、特に日本手話(手話の分類についてはほかのnoteをごらんください)は、日本語の補填ではない、別の言語として認められる動きが高まっています。(法的には認められていません)
しかし、私は手話が、他の言語より「学びづらい」と感じるのです。

手話の分類はこのnoteの後半部分がわかりやすいと思います。

☆文字データにできない

まず、言語の性質として、文字データにできないことはあるでしょう。くつばこ+では指文字を文字データにするといった趣旨のnoteを書いていますが、それもなんだか長くなってしまって、うまく伝えるのが難しい。空間的な場所も伝えるとなると、難しさがありますね。しかしこれは言語の特徴であり長所でもあるでしょう。

☆アップデートされない

本やサイト、動画を探すと、全部何となく古い。指導者が少ないのでしょうか。最新の手話、最新の情報が出てくることは少ないです。もちろん、古くても言語は正しいでしょうし、学ぶことはできますが、「言語は生きる」もの。少しでも新しい辞書を買うように、手話も、新しく、つまり、今現在本当に今使われているものを選びたい。そこで新しいものを探すのですが、「本当に今使われているか」を学習者が判断できないのも事実。そういった観点で、よい教材にあまり出会えないと思います。

☆アプリがない

アップデートされない、と関連して、本などはあっても、アプリが少ない。私は現在、「唯一の、手話を学ぶアプリ」といっても過言ではない、ソフトバンクと手話あいらんどが作っている「手話辞典」のアプリを使っていますが、そのアプリでさえも課金しなければ辞書に登録されている単語は非常に少ないです。手話は文字データにしづらい反面、動画でこそその良さが活きるのに、最適な「アプリ」という形の学習教材が少ないのです。他の言語のように、無料で十分な単語量のアプリが出るといいなといつも思っています。

☆練習教材が少ない

これは、英語などなら「洋画!」「洋楽!」と、言語を手段として利用する中で学ぶことができますが、それが手話ニュース程度しかないということ。そしてさらに、多くの手話を使った動画では日本語字幕がついていて、消せないということ。まったく手話がわからない人が手話を学ぶ分には、日本語字幕があるとよいですが、いくらかわかるようになってきた人にとって日本語字幕は邪魔です。できれば、出したり消したりしたい…。そんな教材をずっと求めていますが、動画共有サイトのYouTubeなどをみても、なかなか見当たりません。

☆手話教室は金額が高い

地方自治体が手話教室を開講している場合、多くは安価で受講できますが、民間の手話教室を使うとなると、需要があるということか、レッスン料がお手頃ではありません。これでは、手話を教わることをあきらめてしまいます。

☆結局、「手話話者と話すのが一番」で落ち着く

大体の場合、手話の上達方法は「手話話者と話すこと」と言われ、それが常識でもあります。しかし私はこの常識が当たり前とされている状態では、手話を使う健聴者は増えないと思います。話者が近くにいないと上達しない言語は、弟子入りしないと学べない「秘伝の奥義」のままで、拡大する可能性がありません。もちろん、単に手話話者が増えればよいという問題ではありませんが、手話を話す人が増えれば、手話やその背景の文化が日本語とは別に認められる可能性は高まると思います。せっかく手話を学ぼうとする人が増えているのなら、その人たちがあきらめてしまう前に、何よりも、学習環境を変えること。その先に、手話、文化の発達があるのではないでしょうか。

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