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『記憶する体』

今日は、月に一回くらいは書きたいなと思っている本紹介シリーズです。今回はうちの大学の准教授もしている、伊藤亜紗先生の『記憶する体』です。

こんにちは、くつばこ+のうたです。塾から出てくる受験生とか見ると、去年はあっち側だったんだなーって思えてきます。何とかなるから頑張れーと祈っています笑
今日は本紹介シリーズとして、『記憶する体』を紹介したいと思います。

☆12人へのインタビュー

伊藤先生は障害科学の研究とか、美学の研究をしています。しかし、東工大で准教授をしているところから少しわかると思うんですけど、かなり理系的な部分も多くあります。(小さいころは生物学者が夢だったそうです)研究をするときに、その人固有なことをインタビューで聞き出した後、それに関して、理由などを推論していたり、少し一般的にしていて好きです。さらには障害を超えて、人間がどのようにできているのかとかも分かったりします。(生物学者が夢だったことも関係してそうですね)

☆点字を触ると色がイメージされる

具体的な例を2つほど紹介したいと思います。他にもたくさん書かれているので、是非読んでみて下さい。

皆さんには「あ」という文字を見ると「青」っぽい色が頭に思い浮かぶことはないでしょう。しかし、ある視覚障害者は文字や数字に固有の色が対応されていて、頭に思い浮かぶそうです。これは、伊藤亜紗先生の考察では、小さいころに遊んでいた、ひらがなを覚えるようの積み木が由来なのではないか、ということです。積み木に書かれた文字の色がイメージとして残っているから、固有の色が照明のように思い浮かぶのではないか、ということです。ちょうど、文字を学習中に視力を失ったのでこのような状況になったのではないか、という推論ですね。とても面白いなと思いました。

※共感覚じゃない?って思う人がいると思いますが、違うそうです。詳しくは本を読んでほしいですが、簡単に説明します。一般的な共感覚では、文字がピンクなどで着色される感じです。白黒印刷されてるのにカラーで見える、そんな感じ。しかし、この視覚障害者は頭の中で照明が切り替わる感じだそうです。このように、明確に違いがあるそうです。

☆痛みはありがたい

次は二分脊椎症という、下半身麻痺で足などの感覚がない人が取り上げられています。足に感覚がないということは、ケガをしても気が付かないのです。僕らは普段、足を擦りむいたりするとすぐに気が付くと思います。あるいは、ファンヒーターの近くに足をおいていて、ちょっと熱すぎるとか。これらは「痛い」や「熱い」といったことを神経を通して感じているからです。しかし、これらの感覚がない、下半身麻痺の人は常に足に気を使わないといけないのです。めっちゃ大変ですよね。

というように、『記憶する体』では、障害の枠を超えて色々なエピソードがとても興味深いのでとてもおすすめです。よかったら読んでみて下さい!

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