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「バイク」はかくして作られる~オートバイ設計の教科書作りの思い出@Kawasaki

どこかでも書きましたが、今後は、日記的な備忘録も、こちらにあげていきます。社歴の浅いメンバーも増えつつあり、楠浦の「歴史」をすべて説明することも困難になりつつあるからです。

発明塾Blog のどこかにも書きましたが、新卒で入った川崎重工業(Kawasaki)では、大型オートバイ新機種のエンジン設計の傍ら、母校 京都大学 の出身学科(機械工学科)で

「エンジン設計の演習講義を担当する」

という機会に恵まれました。

講義では、自ら設計したエンジンの分解説明なども行わせていただき、それらは後日、京都大学に寄贈されました。
(まぁ、持って帰るのも大変ですし・・・)

どんなエンジン(バイク)だったか、興味ある方は、以下ご参照ください。ありがたいことに

「W650」

は、Kawasakiとして、このジャンルの久々のヒット作になりました。

僕が入社した時には、基本設計は出来上がっており、詳細設計の最終段階でした。その後、試作~テスト~量産試作~テスト~先行量産~テスト・・・の長い道のり、約2年間を共にしたエンジンです。

非常に懐かしいです。

ありとあらゆる、(開発中の)不具合の思い出がよみがえってきます(笑

それらをつぶし切って、お客様に安心して乗っていただけるものとして、自信をもって、出荷を見送る、それが設計者の仕事です。

Kawasaki では当時、設計者が開発の全責任を負うことに(実質上)なっており、製造上の不具合なども、設計段階からの見直しになるのが、ほとんどです。量産用の汎用製造設備には、改善の余地が、あまりないからです。
(他機種への影響もある)

なので、設計者は、製造設備に関するいろいろな知識や、生産設計の手順などについても、詳しくなります。後工程の限界を知らないと、設計ができないからです。

一方で、後工程の担当者は、

「設計基準」

を知らされていません。情報管理が厳しいからです。知っておいてほしいところですが、やむを得ません。これは、ほぼどの会社でも同じだと思います。

「上流は、下流のことを知る」

「下流は、上流のことを知らない(知れない)」

という非対称性があります。これは、仕事をとてもややこしくします。トラブルが頻発すると、下流工程の方々の協力を得るために、

「バイクのエンジンって、実際のところ、こうやって設計するので・・・」

という説明を、繰り返し繰り返しする羽目になるからです。


幸運にも、京都大学での講義では

「エンジン設計の教科書」

を作り、大学生に配りました。

これを社内に配ってはいけない、というルールはないわけです。

(社員の)希望者全員に、配りました(笑

大好評でした。

ミスコミュニケーションも減り、皆さん、親切に相談に乗ってくださるようになりました。
(あの教科書めっちゃ参考になるわー、と言いながら)


ちなみに当時、参考にした書籍の一つに、

「ヤマハ発動機」

さんが出されている、オートバイ設計の本があります。
(言っていいのかな? まぁ、秘密情報ではないような・・・)

やはり、絶版ですね・・・。

めっちゃ勉強になるので、バイク好きは必携ですよー!

あと、発明塾生には

「ものつくり」

を知るという点で、以下の書籍を勧めています。

私は、全シリーズ持ってます。


楠浦 拝


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