結果論として「よかったね」と喜ぶために
現在、薬局に求められる役割は様々あり、その中の1つに『ポリファーマシーの解消』というものがあります。(ポリファーマシー の問題点についてはこちら)
今回は、店舗のスタッフが実践したポリファーマシーの解消に向けた取り組みの共有を受けたときに感じたことをまとめていきたいと思います。
ポリファーマシーの解消に取り組んで
私は社内の各店舗の業務の実践状況を把握して、会社の課題を解決していくために、毎月各店舗の管理者と個別にミーティングを行ってます。
そのミーティングの中で、複数の薬を服用している患者さんに、現在の状態を踏まえて、今行っている薬物治療を見直してみないかと患者さんに声をかけて取り組んでみたということを共有してくれた方がしました。
取り組んでみた結果としては、患者さんは現在の治療で満足のいく効果が得られており、悪影響と思われる症状は出ていないとのことで、薬を減らしたいと思っている人に出会えていないんですと、少し残念そうに語ってくれました。
ただ、私はその管理者の思いとは違って、思っていた結果にはなっていないければ、結果論としてそれでよかったんじゃないと思いました。
今回、患者さんに治療を見直してみないか提案をしたことで、もしかすると患者さんは服用しているそれぞれの薬が今の自分の体調にとって本当に必要なものかを深く考えずに服用していたかもしれない。
だとすると、今回声をかけたことで患者さんは今の現状を改めて見つめ直すきっかけになり、自分の体のこと、治療のことにちゃんと向き合うきっかけを与えたことになります。
これは、きっと患者さんがこれから薬物治療を継続して、体調をより良い状態にしていくことにつながる大きな成果だと思いました。
なので、結果論としてそれでよかったんじゃないと思ったのです。
なぜ「結果としてよかったね」と思えたのか?
今回のケースでは、「結果としてよかったよね!」と取り組んだことを喜び合うことができたのですが、取り組んでみても「結果よかったね!」とはとても思えないようなケースもやはりあります。
私は、なぜ今回「結果としてよかったね」と喜び合うことができたのかを考えてみました。
今回のケースを整理してみると以下の4つのステップに分かれるのではないかと思います。
ただ、これだけでは、「結果としてよかったね」と思えた理由ははっきりしてきません。大切なポイントは、どう行動したではなく、何のために行動したというところにあるのではないかと思います。
これら4つのステップを実践していく中で、『一貫した目的(例えば、患者さんの薬物治療をより良くしたい)をもって業務に臨む』ことができれば、思い描いていた結果とは異なる結末だったとしても、目的の達成にはつながる結末にたどり着けて、そのときに初めて「結果としてよかったね」と喜び合うことができるのではないかと思いました。
この『一貫した目的をもって業務に臨む』というのは、一見簡単そうにみえて、実はやってみると難しいことだなと思います。
一貫した目的をもって行動するために
なぜ簡単そうな『一貫した目的をもって業務に臨む』ことが難しいのか?
それは、目的を持って行動を続けているうちに、目的を達成するための手段や行動をとることそのものが目的になってしまうことがあるためだと思います。
行動をするにあたって、こうなればいいなと思い描いた状況は、どのように描いていくかと言うと、様々に方法はあるかと思いますが、自分の目的を具現化したものが、それに該当するのではないかと思います。
そこで手段が目的化してしまうと、目的が最初と変わるので、もちろん最初に思い描いていたこうなればいいなという状況とは変わった状況を思い描いて、それを行動によって引き寄せてしまします。
そのとき、たどり着いた現状は、最初とは異なる目的に向かって行動した結果なので、当然「結果としてよかったね」とは到底言えないものになってしまいます。
そして、手段の目的化は、無自覚に引き起こしてしまうことが多いのも厄介なところです。
では、この手段の目的化からどうやって抜け出せばいいのか?
その1つの方法は、抜け出すきっかけをもうけておくことです。
それは、誰か目的を再確認することを問いかけてくれる人でもいいし、目的を再確認するための言葉を目に入る場所に掲示することでもいいと思います。
私は、『薬に責任をもつ』という言葉を、社内の至る所で見れるようにし、スタッフ同士でも声を掛け合うようにし、自分自身でもこの言葉を発するようにしています。
当たり前のことかもしれないですが、ハッとしたときに、自分を見つめ直すきっかけを持つことが、とても大切なことなのだと思いました。
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