【ファッション アイテム探訪③】オックスフォードの○○シャツ抜きにカジュアルは語れない

いきなり質問します。

世界で最も模倣された洋服のデザインって何か知っていますか?

今回はこの答えであるファッションアイテムの話をします。

それは、日本では伊能忠敬が地図を作るために全国を歩いていた江戸時代後期の頃、1818年に創業したアメリカのブランドがデザインしたものです。その名はブルックスブラザーズ。アメリカの最古の洋品店で、アメリカのファッション文化を象徴するブランドです。最近身売り話がネットをにぎわせていたので、個人的には気がかりではありますが。

前置きが長くなりました。

そのブルックスブラザーズが生み出したデザイン、「オリジナルポロカラーシャツ」通称「ボタンダウンシャツ」が世界で一番模倣されたデザインと言われています。イギリスでも、フランスでも、イタリアでもなくアメリカのブランドがファッションにおいて最大の普及品を生み出したというのも面白いものです。

それは、ポロ競技で着用していたシャツの衿がプレー中邪魔にならないようにするために作られたのがはじまり。現代ではビジネスシーンでも着用する人が増えていますが、もともとはスポーツシャツとしての血筋をもつカジュアルなアイテムです。

私は、このボタンダウンシャツを長年愛用しています。特にコットンのオックスフォード生地のものが大好きです。

ブリティッシュトラッド、アメリカントラッドにハマっていた高校生時代を経て福岡の大学に進学した際、とにかく手に入れたかったのが、「オックスフォードのボタンダウンシャツ」です。当然正規店で購入する経済力などなく、古着屋を物色して程度の良いものを必死に探してなんとか工面して買ったことを今でも鮮明に思い出します。やっとの思いで手に入れた一枚のブルーのボタンダウンシャツは、卒業するまでずっと愛用していました。昔の写真などたまに見るとそのシャツを着て自慢げに写っているので笑ってしまいます。

オックスフォードはシャツの生地としては、代表的なものです。コットン素材がほとんどで平織りもしくは斜子織の生地です。20〜40番手の太めの糸を使ったカジュアルシャツが一般的で、その風合いは独特です。素材感がナチュラルでふっくらとしており肌触りもよいので、一枚でも"サマ"になる不思議な力を持っています。また、たくさん汗を吸ってくれるので、夏も冬も快適です。

また、カジュアルスタイルを考えた時には、チノにもデニムにも、ウールパンツにも相性がよく、季節限定せずに着用することができる万能アイテムです。活躍範囲が広いので一枚あると間違いなくコーディネートが安定するでしょう。

特にブルックスブラザーズのものは、さすがに元祖だけあって素材や縫製もさることながら、衿のロールがキレイです。他ブランドとは全く違うラインが首周りをいい感じに包んでくれる上、着心地もストレスがなく、パターンの良さを実感できるのでオススメです。

歴代のベストドレッサー「ジャンニ・アニェッリ」「フレッド・アステア」などが愛用していた理由もそれなりにあるのでしょう。たまたまではなく、デザインと着心地に惹かれていたからこそ着続けていたのだと思います。

シャツというファッションアイテムは、実はコストがかかります。パーツが多く、縫製も複雑で、直接肌に触れるものであるがゆえに素材選びにも気を使って製造しなければなりません。よってシャツのクオリティーはブランドの考え方や製品に対する姿勢をはかるひとつのバロメーターになると思います。

ファストファッションブランドのものを5枚購入する代わりに1枚、自分にとってのベストシャツを探して投資することも悪くないと思います。丈夫で長持ち、着心地抜群の「オックスフォードのボタンダウンシャツ」のマイベストを探し当てた人は、幸せになること間違いありません。

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