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訪れた国

Episode 17 – Cambodia 1
 
カンボジアへは銀行が率いるグループに属する会社の仲間と行きました。当時は長い内戦を経て社会が落ち着き始めたころで、目立つ産業はまだありませんでした。街道筋にある集落に電気は通っているようですが、自給自足的な生活をしているように見えました。空港の免税店にお土産になるようなものは何もありませんでした。しかし、今では日本でMade in CambodiaのTシャツを見かけるようになりました。
研修旅行の目的はカンボジアにおける将来的なビジネスの可能性を探ることでした。プノンペンでは50人くらいが集まるビジネス交流会が開催されて、フン・セン首相が出席されました。また、研修の一環として日本の援助による港湾改修工事を見学するためにシアヌークビルへも行きました。
出張目的の研修プログラムが終わったあとは観光です。行先はアンコールワット。プノンペンからプロペラ機でアンコールワットのあるシェムリアップへ向かいました。フォッカーフレンドシップF27ががたがたと揺れながらトレン・サップ湖の上空を飛んで、着陸後は古い街の立派なホテルへ入りました。
一流ホテルとはいえ大した設備や備品はありませんでしたが、部屋は広く快適で食事もおいしくいただけました。都会の高級ホテルでも洗濯袋にはポリ袋が多いのですが、このホテル備え付けの洗濯袋はコットンでLaundryと金色の刺繍がしてある袋でした。
翌朝、バスで市内を移動すると街のあちこちでおいしそうな焼き立てのフランスパンを積み上げて売っているのが見えました。フランス統治時代の名残でしょうか、おいしいフランスパンの文化が首都を遠く離れた街の市民の食生活に「朝はパン」として定着しているのでした。
アンコールワットは12世紀頃に、時の権力者が30年以上の年月をかけて50km離れた所から大きな石を運んで建設した寺院です。多くの文化遺産と同様に教科書の写真でしか知らない遺跡の一つです。写真でしか見たことのない被写体を目の前にすることはあまりありませんが、実物を目の前にすると感動します。
お濠を渡ってアンコールワットの中に入ると、大きな石の彫刻とその数に圧倒されます。江戸時代初期のまだ海外渡航が禁止されていない頃、ここを訪れた日本人の落書きが残っています。好奇心をもって冒険した江戸時代の国際人に驚くばかりです。
この研修旅行に英語版で分厚いヒラリー・クリントンの自伝を持って行きました。仲間がなぜその本を持ってきたのと聞くのは一つには邪魔でしょう、という意味ともう一つは今なぜヒラリー・クリントンなの、という意味の質問です。
理由は2008年のアメリカの大統領選挙ではブッシュの8年間が終わって、民主党が勝つだろうと思っていたからです。ヒラリーは民主党候補の指名獲得レースに出てきて、予備選挙で選出されるだろうと予想していたのです。実際に彼女は候補者レースに出てきましたし、勝って大統領になることに意欲を見せていました。しかし、民主党の予備選挙ではバラク・オバマが彼女に勝ちました。彼は本選挙でも共和党のジョン・マケインを破って第44代大統領になりました。
 2024年のアメリカの大統領選挙には誰が出てくるのでしょう。それまでにウクライナの戦争が終わっていますように。

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