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[一語一会 #7] アミノ酸

本当は覚えておくべきだった.
ただ,現状で私の専門というわけでもなく,20種類すべてをその性質含め覚えるというのは,少し億劫なのだ.

私たちの体をつくるたんぱく質はすべてアミノ酸でできている.記憶の間違いがなければ,遺伝子であり核内部に存在するDNAはmRNA(メッセンジャーRNA)に転写され,そのうちの連続する塩基三つずつから成るコドンと対応するアミノ酸一つがアンチコドンに付されていて,それがmRNAにある順番通りに並びその通りに結合されていくことでタンパク質が生成され,DNAに書かれている情報がタンパク質として翻訳されるのだ.

このようなDNA⇒RNA⇒タンパク質という流れは一方通行であり,いわゆるセントラルドグマがここにある(ただし,一部例外はあるということも近年の研究で分かってきているようだ).新型コロナウイルスに対するワクチンにおいて一躍有名になったmRNAワクチンは,このうちRNA⇒タンパク質の機構を利用している(私の理解に誤りがなければ).自分の体内にあるアミノ酸を,ウイルスのスパイクタンパクの配列の設計図であるmRNAの情報に沿って並べて組み上げることで,そのタンパク質を自己生成し,それに対して自分の免疫を発動することで覚えてもらい,次に同じウイルスが来たときに強く反応することで重症化等を防ぐ,という仕組みだ.RNA⇒タンパク質の部分しか使っていないので,ワクチンを打つことでDNAが書き換えられるというようなことはまず起こらない.

どこかで見た話でしかないので,信憑性は要確認だが,例えば,このmRNAワクチンの技術は他の感染性の病原体に対しても利用できるし,さらには,がんに対して使うことも模索・研究されている,という.このように科学技術が爆速で進歩し,現実の問題に適用されていくという時代に生を受けたことは正直感動ものだなぁと感じているところである.

ただ,もちろん,副反応などの弊害に注意が必要なことは言うまでもない.(論理・理性で考えたときに,無理のない範囲の注意にしておくべきと,個人的には思うところだが.).個人レベルで見るかはともかく,年代別や年齢別など特徴別に見てそれぞれで丁寧にリスクを見たうえで,人それぞれが自分のことを判断できる社会になればなと,(現実問題はおくとして)切に願うところである.

こういったことを一人一人が正視して考えていくためにも,基礎的な素養はますます必要となるだろう.ただ,理系として大学4年間の課程を修了しようとしている私自身も,(基礎的な知識をもとに調べて知ることはできるとしても)アミノ酸のそれぞれが頭に入っているというわけではないので,すべては無理としても,そして専門外になったとしても,そういった基礎的な知識を(理系/文系にかかわらず)アップデートしていくことは重要だろう.

こうして,科学技術の適用が進み,急速に変化していく社会に合わせて,自分が変化することもそしてその社会を考えることも怠らないようにしたいと改めて思うようになったので,新型コロナにも少しは感謝したいと思う(一応).

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