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『ちいかわ』がなぜ人気なのか30代のおっさんが真面目に考えてみた

ツイッターで更新されるたびに、物語の展開が話題になったり、グッズやコラボ商品が売れまくったり、なにかといつも話題で老若男女に愛されるちいかわ。自分もちいかわをフォローして、いつも楽しませてもらっている。

子どもや女性だけでなく自分のような男性にまで幅広く浸透するその理由をなんとなく言語化したくなったので書いていく。


1.日常に潜む不穏さ

ちいかわたちはお金を稼ぐために討伐を行う。様々な外敵を倒して、それによって報酬がもらえる。こういうほのぼの系の漫画だと戦いとか、労働とかそういう事柄は描かれないのが普通だが、ちいかわの世界では何をしてくるかわからない、見た目もけっこう厳つい外敵が、がっつり出てくる。

かわいいキャラクターたちが、不気味な敵と戦ったり、トラブルに巻き込まれたり、現実社会と変わらないような過酷な環境で生きてる・・・そこに読者はリアルを感じて、さらに無事でいてほしいというどこか親のような目線を送らざるを得ない感じがある。

過去にけものフレンズってアニメが話題になったとき、普段アニメとかそんな見ない自分も1クールしっかり見た経験があるけど、けものフレンズもかわいいキャラ・世界観とは対照的に、毎回のエンディングで示唆される不穏さに目が離せなくなった。

保護ネコ系youtuberが数字を稼ぐのも同じ構造だろう。子猫が過酷な現実の中彷徨っていたら、不安になるし、無事でいてほしいと多くの人が願うだろう。

決して楽園ではない、困難や苦境に立たされるからこそ、親近感を感じ、ちいかわたちの無事を祈り、行く末を案じてしまうんだろうなと思う。ほのぼのとずっと平和な夢物語だったならここまで人気になってはないだろう。

2.女性独特のセンス

ちいかわの作者、ナガノさんは過去にツイッターで女性であると自身が明言しており、ちいかわにも女性独特のセンスを随所に感じる。自分も昔絵を描くのが好きでよく描いてたけれど、自分にはこういうキャラデザインとか癒し系の雰囲気ってのは絶対出てこない。やっぱり男なのでかっこよさとか派手さってのを追求してしまう。

女性が作者の作品の例で言うと、普通バトル漫画では敵キャラの事は100%の悪で、哀れみの対象として描くことは少ないけれど、鬼滅の刃は鬼の生い立ち、どうして鬼になったのかを描き、敵にも思いを馳せるところが非常に新鮮だった。鬼滅の刃の作者の吾峠呼世晴さんも女性だった。

そういう女性ならではの視点、日常のちょっとした出来事の中にあるおもしろみだったり、小さな事に細かく気づくそのセンスってのも新しい風を感じさせるなぁって思う。

3.仲良しトリオの絶妙なバランス

ちいかわ・ハチワレ・うさぎ、この3人が主によく出て来るけど、そのバランスが絶妙だと思う。まずちいかわとうさぎはあんま言語をしゃべらないってのがおもしろい。ちいかわはどちらかと言えば優しくて内向的、逆にうさぎは自由奔放で、謎にテンションが高い。

このどこか抜けていて、ある種ハンデにも見えてしまいそうなパーソナリティにも、人間らしさというかリアリティが宿ってる気がする。現実社会にもちいかわっぽい人とかうさぎっぽい人いますよね?

なんだかアンバランスな3人がそれぞれ互いを認め合い、うまいこと調和が保たれて仲良く暮らしてるところに、ちょっとおかしさというか微笑ましさみたいなものが感じられる。

4.小さな幸せ

ちいかわの世界は討伐もあったり、落ち込んじゃうような出来事もあったり大変なことも多いです。でもそんな日常の中に隠れてる小さな幸せ、これこそ僕は一番素晴らしいと思うテーマです。

今はインスタとかtiktokとか様々なメディアでキラキラした物を目にすることが多いですよね。綺麗なご飯、綺麗なパッケージの商品、観光スポットの写真・・・とか、そういうものばっかり見て、そういうものに価値基準を置いてしまうと、大変な日常とか苦しい仕事とかを否定することに繋がるんですよ。

そもそもそういうキラキラしたものって日常生活のほんの数%の上澄みの部分でしかなくって、その他はしょうもない、なんでもない日常なわけじゃないですか。

ちいかわには、なんでもない友達との日常や、平穏な生活のありがたさ、そういう小さな幸せを思い出させてくれる描写が多いなって思います。

そんな地味でなんでもない日常を肯定してくれるからこそ、ちいかわはたくさんの人に愛されてるんじゃないかなっていうのを30代のおっさんは感じました。

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