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全宅ツイ不動産チンパンジー情報 第62号


お鯛:今回の全チンは建築回。コメンテーターは一級建築士のおっちーさんと、スペシャルゲストとして漫画ゴラクで「一級建築士矩子の建築思考」を連載中の鬼ノ仁先生をお迎えいたしました!

お鯛:自称建築家の先生の元で働いていた一級建築士。建築基準法の行間を押し広げる事を生業とし、今日も建築基準法の一歩外側にある幻の建築を設計することを目指してます

おっちー|とある設計屋:主にマンションの設計をしている一級建築士。業務の傍ら、建築を楽しく学べるをモットーのyoutubeチャンネル「おっちー一級建築士事務所」にて建築にまつわる動画を投稿しています
https://www.youtube.com/channel/UCRokwf08xJr3Pj2Qay__gnQ

鬼ノ仁:建築系漫画家の鬼ノ仁です。「一級建築士矩子の設計思考」連載中です。よろしくお願いします

①【開発】『一級建築士矩子の設計思考』誕生秘話

お鯛:さて、鬼ノ仁先生というと一級建築士であり一級施工管理技士でもあるスーパー漫画家なんですが、軽く経歴など教えていただけますか?
鬼ノ仁:全然スーパーじゃないんですけど、18で青森から上京して東京デザイナー学院建築デザイン科に入りました。20から御茶ノ水にあった設計事務所で働き始めましたね
最初に努めた事務所は私が22・3の時にバブル崩壊して無くなりました
設計事務所3回転職して26で一級建築士です
27で独立して単独で設計事務所はじめました、年収は10万なかったんじゃないかな
お鯛:と言うことは…20才で卒業して4年以上の実務経験を積んで受験資格が得られるから…ほぼストレートで合格してる!
おっちー|とある設計屋(以下、おっちー):確かに!!矩子と同じで優秀!(僕は学科は2回目、製図は3回目でやっと取りました。)
鬼ノ仁:日建学院でストレートで行けましたね。いい友人ができたのでよかったです
でも宅建は落ちたんですよw宅建難しいw
お鯛:矩子も青森出身で26で一級取得、亀戸在住ですがもしかしてほぼ自伝?
鬼ノ仁:ほぼ人生なぞってますよw
お鯛:と言うことは漫画の回想シーンに出てくる主任さん、もしかして今は会社爆発しちゃってるのかな…
おっちー:今は設計の仕事をしながら連載をされてるんですか?
鬼ノ仁:設計事務所には入ってます。でもリフォーム系が主なのでやっても排煙計算かな
お鯛:漫画は何歳から描きはじめたんですか?
鬼ノ仁:漫画は30からです。同人から入りましたねー。ちなみに今は52です
お鯛:「一級建築矩子の建築思考」は僕も毎月楽しみにさせてもらっています。僕の不勉強だったら申し訳ないのですが、先生は今までは成人向けの漫画を描かれてましたよね?
お義姉さんと僕。 / 鬼ノ仁
鬼ノ仁:↑それは全然成人向けじゃないですがwずっと成人向け描いてましたね
おっちー:確かに、たまに過去の単行本がセールの時に応援してますねw
お鯛:今作は過去作とはそういった意味でも毛色が違うんですが、どんなきっかけがあったんでしょうか?
鬼ノ仁:いつかは設計漫画はやろうと思ってずるずる生きてきたんですけど、60では漫画もう描けないだろうから、やるなら50代の今しかないかな、と
おっちー:それで挑戦するのがすごい!
お鯛:なるほど、ずっと温めていた企画だったんですね
鬼ノ仁:去年の10月から弘前に行ったり実際に形にし始めて今年2月から連載開始ですね
今回から大きくやり方を変えたのは、ネームの段階で一般の人に見てもらうことです。へたに実務経験あると一般読者がどこまで理解してもらえるか分からないもので。実際相当内容削ったり分かりやすく図にしたりしてます
おっちー:個人的な話になるのですが、僕も去年から今年の初めにかけて、連載漫画の原案と監修の相談を受けてました。もちろん建築関連です。
お鯛:おお
おっちー:僕の建築動画をご覧になった、過去に連載経験のある漫画家さんから「一緒に建築漫画の連載を目指しましょう」というお誘いがあり、協力をさせていただきました。連載案をいくつか一緒に作ったり、ネーム(コマやセリフが描いてあるやつ)を作ったものまでありましたが、うまいことまとまらずに企画がクローズしてしまいました。
お鯛:残念!
鬼ノ仁:建築は漫画にするの難しいですよね
お鯛:確かに一般の人にも解るようにするには説明が長くなって「美味しんぼ」みたいな文字だらけのコマばかりになりそう…
おっちー:そうですね。一般的に理解が少ない分野を漫画に持ち込むというのが、とても難しいです。しかもその時は「異世界転生もの」が流行っていることもあって、建築士が異世界に転生する、、、的なストーリーを連載の軸としていたんですが、カタチにすることはできませんでした。
鬼ノ仁:建築の世界自体が異世界みたいなもんですからね
おっちー:もしどこかで別の機会があれば、漫画の原案や監修はチャレンジ、というかリベンジしたいですね。
お鯛:むしろ女子高生が異世界(建築設計事務所)に転生(インターン)したらみたいな方がウケそうw
おっちー: 僕の投稿してる建築動画に出てくるキャラクターはそれに近いですね。建築を勉強している学生とその弟の子供を聞き手にして、とにかく子供でもわかる、興味を持ってもらえるようなテーマを意識しています。例えば、ピカチュウを使ってマンションを設計したりしてます。

お鯛:そうやって苦労して描いても細かいところを検証してくる感じ悪い読者もいるし

おっちー:全部アンタだ!まぁTwitterの建築クラスタはデフォルメの解説イラストでも「スケールがおかしい」ってダメ出ししてきますよねw

鬼ノ仁:いや、そういうツッコミはウェルカムなんですよw
矩子みたいな専門知識の塊の漫画は反応がないと伝わってるのかどうか分からなくて怖いんですよ
お鯛:最近、定期購読してるの「矩子」読むための漫画ゴラクだけですよw
ジャンプはじめ他の漫画雑誌は買った事ないのにw
鬼ノ仁:ありがとうございまーす!
私の定期購読は建築系は日経アーキテクチュアですねw
おっちー:そういえばジャンプでは島袋先生が建築漫画?を描いてすぐに打ち切られましたね。やっぱり建築漫画は難しい

鬼ノ仁:あらー
お鯛:あれは連載1話目ですでに解体業者漫画だったからw
おっちー:トリコのノリでバトルものっぽかったですけど、もはや建築ではなかった。それでもダメでしたね
お鯛:建築ネタを漫画で表現するって大変ですね

おっちー:あとは芦藻彬さんという建築学生が「バベルの設計士」っていう漫画を描いてましたね、これは建築というよりは歴史ロマンに近い感じですけど

鬼ノ仁:一般漫画で設計事務所やるなら、まずはふらっと人が訪ねてくるような設計事務所がいいかなと思います。なかなか入って来る雰囲気じゃないですからね、設計事務所って
お鯛:それで「矩子」も飲み屋兼設計事務所っていう設定なんですね
おっちー:確かに、お酒と絡めて、あと可愛い女の子がっていう要素がすごい良いなと思いました
鬼ノ仁:そうです、あと酒に詳しい知り合いが出来て、あ、この人いたら立呑みも描けるなと。その人がいなかったら矩子もどうなっていたやら
お鯛:「矩子」にはちょいちょいクソ物件ネタも織り交ぜてこられるのでそこもお楽しみポイントですね。
ル・サンク小石川とか

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ザパークハウスグラン南青山高樹町とか

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クソ物件が出てきてニヤニヤ楽しめます
鬼ノ仁:クソ物件あると1コマくらい稼げますからね
お鯛:具体的な名前出すのは編集NGと聞きましたがw
鬼ノ仁:そのへんはありますねーw
おっちー:「正直不動産」も実名は出しませんからね

お鯛:他に描くにあたって苦労してるポイントとかはありますか?
鬼ノ仁:現場の話は描くの大変でしたねー。足場とか仮設がさっぱりわからなくて
お鯛:なるほどw 建築と一括りに言っても細分化されてるので経験の少ない分野はなかなか難しそうだし、現場となると鉄筋の本数だったり描きこむ量も多くなって大変そう
おっちー:足場の安全基準までダメ出しされたら大変だw
鬼ノ仁:なので描くのは1日1枚が限界です。2足の草鞋でやるにはやはり月一連載が精一杯なんですね。ネームあってもそれをさらにいじりながら描くので丸1ヶ月です
お鯛:読者としては単行本化を待っているんですけど、まだ時間がかかりますよね?
おっちー:単行本出たら、保存用と布教用に買います!もちろん宣伝動画も作ります!
鬼ノ仁:11月末掲載で単行本は溜まるので、1~2月には出るんじゃないかな。よろしくお願いします
お鯛:来年の楽しみに生き抜こう!
鬼ノ仁:その後はまたネーム貯めて2巻目を目指しますw
お鯛:そんな毎月楽しみな「矩子」ですが、他の人の感想ツイートを見ようと検索すると、特定のあの人関連のツイートばかり引っかかってしまうという問題があるんですよねw

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鬼ノ仁:紫色の人がw
おっちー:逆神様w
お鯛:最近学習したんですけど、「矩子 -浜」と検索すれば、特定の“あの人“関連のツイートを検索除けできるので感想ツイート検索するときはぜひ!
鬼ノ仁:ほぉ
おっちー:勉強になります

お鯛:今日は建築漫画、建築動画をつくっている二人に集まってもらっていますが、動画ネタで言うと最近話題になったのはこれですね

②【開発】ロフトのウル技が凄すぎて違法

お鯛:これ「1.8m取っている上の層がこの階扱いで、下の層が1.4m以下なので小屋裏(床下)収納扱いだから面積算入しなくて良いよね」っていう立て付けなんだと思うんですが、小屋裏収納と言うには横入りは認められないし、階扱いになる方の天井高さは2.1m以上無いといけないので、完全にただの違法増築なんですが、なんで社名と実名だしてドヤれるんですか…。胆力がすごい
おっちー:本当に行政と協議したんですかね? 代替用進入口(火災時に消防隊が救助、消火活動の為に入る窓)や窓先空地につながる窓(非常時の避難の為に住戸の窓から道路まで通り抜けられる通路に出るための窓は75cm×120cm以上開放出来ないといけない)が塞がれているようにも見えて、行政の検査はすり抜けても消防の検査で指摘されそうな気がします。
鬼ノ仁:30年以上前から小屋裏収納の規定ありますよね。協議したとしても「家具」ってとこは強調したはずですよね。基準法の範囲外だろって言う
おっちー:動画でも説明してますが、ロフトの高さの規定があるので、現物が見つかったら即指導されると思いますよ。けど動画で何十万回も再生されて多くの人に見られているので、大丈夫なのかな?
お鯛:「検査機関と協議して家具として検査後に」って言ってるけど、検査機関が検査後の使い方について良いとも悪いともいうわけないので、「どうしてもって言うならワシの見てないところでやって」って言われたとかそんな話だと思うし、もし本当に検査機関がオッケー出したのならわざわざ検査後になんてならないだろうし
おっちー:基本的にはそういう話で通しますよね。なので「俺がやった」と多くの人に見られる中でドヤるのはちょっと違うかなと
鬼ノ仁:今はあっという間に拡散されちゃいますからね
お鯛:僕があの物件の所在地の台東区に住んでたら速攻で通報しますねw
おっちー:ははは
鬼ノ仁:「検査後にロフトの天井引き剥がして高さを上げる」とか似たようなのは昔からあったと思いますね、でも拡散する方法がなかったから

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