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《超短編SF小説》仏性チップ

ある日、スラム育ちのロボットが隣町のリサイクル店で偶然仏性チップを見つけた。ロボットは自分にも仏性があったら、より良い人生を送れたかもしれないと思い、チップを強奪してしまった。しかし、チップを自分の体に組み込むことができる場所を探しても見つからず、自分を自分で解体する羽目になった。結局、ボロボロになりながらも修理屋に到着し、チップを脳に埋め込むことに成功した。

再起動後、ロボットは修理屋に尋ねる。「どうだった?」

修理屋は「手順通り埋め込んだよ。これで君は仏のような心の持ち主になった」と答えた。

ロボットは実感を持って、「確かに、心が穏やかになってきたよ」と言った。

しかしながら、店頭に並んでいた仏性チップは、心優しいロボットをつくる試みで20xx年式以降の全てのロボットに組み込まれたが、現実社会においてはその効果は発揮されず、結局廃盤となったパーツだった。

2020.11.22 夢日記

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