シニカルファミリー 赤い屋根のおうち

「家族」と言っても、その状況や「何をして『家族』と定義づけるか」というのは色々あると思うが、私は「家族」という言葉の響きがなんとなく苦手である。なんとなく「キラキラ感」を覚えるのである。キラキラネームについては特に興味ない。第三者がブツクサ言っているのを見ると驕りを感じる。

人に対しては、例えば職場で周囲に遠慮して希望休を出せない・残業を引き受けてしまうなんて人に「お前にも家族がいるだろう」とでも言ってみたくなるが(正直なところは「自分自身」に目を向けさせたいところだが)、そういえば口にした記憶がない。せいぜい仕事を早くあがりたい時に「家族が待っているので」というくらいである。ああ、なんてこった。私にとって家族とは職場から抜け出す口実でしかないのか。

キラキラしたニュアンスが苦手だと言った通り、創作物でも「家族愛」をプッシュしているものは避けたい。具体的に想像するのもご勘弁なので雰囲気で書くが、「素敵な」「大切な」「感動の」「あたたかい気持ちに」(出演者の笑顔付き)とか目に映るともう逃げたい。逆に表面化が抑えられていればわりと見れるような気がする。いとをかし。創作側にとっては扱いにくい(というか呼びたくても呼べない)客ではないだろうか。

だからと言って「家庭崩壊」の方を好むのかと言えば、そんなことは全くない。どのような設定であれ、家族喧嘩のシーンは滅茶苦茶心臓に悪い。極端な話、「何か言ってくる親(あるいはそれに準ずるもの)」の存在自体がもうダメである。その場合は大団円でちょっとホッとするかもしれない。アクション系とかの殴り合い殺し合いとかは「いいぞもっとやれ」って感じなのにな。超ブロリー映画良かったです。

外部に「ニッコリ幸せ」をアピールするわけでもなく、内部で争うわけでもなく、ただただ静かに同居人との時間を過ごしてほしいのかもしれない。自分自身がそれを望んでいるのかもしれない。夫の立場だったら「冷え切った夫婦愛」などと言われてしまいそうである。私は別に「愛=結婚」とは思っていないし、特に望んでもいないが、もしこの先婚姻の機会があればそれは最初に了承して頂きたい。婚姻届の前に契約書(ちぎったノート)を投げつけてやる。

まあそんなことを言っていてもしょうがない。今後「家族」という言葉と出会った時の対策をしよう。出会わなければよいのだが、必要になった時はどうすればいいのか。響きがダメなら言い換えるか。「ファミリー」。私が家主だとしたら「シニカルファミリー」。なんか物騒な感じになったな。もっとやさしく。「シニカルファミリー 赤い屋根のおうち」。屋根が赤い理由。いや考えるのはよそう。私は森の妖精さんです。愛車はレオパルト2です。

そういえば書類で家族構成を書く時、「父・母」ではなく「親」ではダメなのだろうか。折角言葉があるんだからさ。ブツクサ。