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テレビが日本人を『1億総バカ化』した?

「テレビが日本人 1億を総白痴化する」

もう半世紀近く前か。わたしが20代のころ、過激にして辛辣な表現で世相をぶった切っていた大宅壮一という評論家の発言だ。今なら完全に「アウト!」。差別用語が入っている。

だが私はあえて、その時の言葉をそのまま冒頭に記した。それほどに衝撃的な発言だった。(差別用語という概念のなかったころの発言だから、そこは事実を記しただけと思ってください)

タイトルでは「バカ」と書き換えた。が、バカなんて軽い言葉ではなかった。「テレビが日本人から思考力を奪い、物事を真剣に考える能力を奪ってしまう」という趣旨だったと思う。

今にして思う。この言葉はある意味、いや、完全に事実ではないか。大宅氏は半世紀後を見据えていたのではないか。

選挙結果の総括も分析もせず、この結果が半世紀後に何をもたらすかも討論しない。

朝から晩までキャスターもコメンテイタ―もヨシモト、ヨシモト。何が根本問題か掘り下げると、大きな問題にぶつかるはずだ。だがテレビは、お笑い芸人の会社のお家騒動という方向に面白おかしく報道している。

世界はものすごい勢いで動いている。大国が申し合わせたように「自国ファースト」を表に出している。誰も予想できない世界情勢。そんなことなんかどこ吹く風、お笑い芸人がどうした、こうした、と大騒ぎ。

私が高校の頃、『キューバ危機』が起こった。社会科の教師が涙ながらに言った。「第三次世界大戦が起こるかも知れない。そうしたら人類は滅亡します」と。英語の先生も涙ながらに言った。「戦争をしてはいけない。キューバ危機を何とかしなければいけない。日本の総理も動くべきです」

その時の日本の総理が誰だったか私は覚えていない。だが、教師二人が声を震わせ平和を語ったあの授業は生涯忘れないだろう。

そして今……。明けても暮れてもヨシモト・ヨシモト……。

やっぱりテレビは、日本人1億を総バカ化したのだ。そういう私もバカ化した一人だ。バカみたい、と思いつつ、アホなテレビを見ている。

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