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エリザベス女王に魅せられて

ここ数日エリザベス女王のニュースに魅せられてしまった。
いちばん感動したのは21,歳の時のスピーチ。「私の命がどれぐらいあるかは分からないが、命ある限り、自分の人生を英国と英国国民に捧げる」というような内容だったと思う。
この若さで自分の宿命を受け入れ、全うしようと決意した覚悟があふれていて、胸にずしんと響いた。

空襲下のロンドンを離れず、国民に寄り添い、励まし続けた強さにも、並々ならぬ覚悟を感じ、テレビの画面の前で思わず背筋が伸びた。凛々しい乗馬姿の美しさにも。

70年の間、目まぐるしく変遷する世界情勢、社会の価値観の変動、家庭内の様々な出来事、それらをすべて乗り越え、君主としての義務と職責を果たした人生。ただただ頭が下がるとしか表現できない。

若き日々も美しく、年を重ねていっそう美しいその姿は、毅然と強い。慈愛あふれる生き方が生み出したものだと思う。

一般の弔問の人々が24時間待ちの行列にも静かに並んでいる。我先にと走り出す人もなく、怒鳴り合いも、押し合いもない。頭の下がる思いだった。あのベッカムも行列の中に一般人として並んでいた。日本でそういうことができるだろうか。

透明な美しい霊柩車、絵本で見る兵隊さんのような赤い制服の衛兵たち、スカート姿の「棺を担ぐ衛兵」たち。荘厳なホールの中、静かに頭を下げる人々。何もかも一糸乱れぬ荘厳さ。

英国の伝統と格式をまざまざと見せられたような気がする。

国葬とは何か。

しみじみ感じさせてくれる日々だった。ほとんどテレビを見ない私だが、少しでも女王の姿を見たい、と夢中でチャンネルを回した日々。

思うのは「人の生き方」「人の運命」。人はそれぞれ、宿命を背負っていると私は思う。努力では変えられない宿命を。それを運命というのだろう。

その宿命を受け入れ、命ある日々を強く生き抜くしかない。

エリザベス女王は「働く女性」、「キャリアウーマン」の先駆けでもあると思う。終活もきちんとご自分で設計なさっている。王位継承順位を男女平等に変えたのも女王だ。

まさにグレイト・ウーマン。

そんな女王を敬愛しているからこそ、人々は一晩中、静かに行列の中で待っているのだろう。

国葬で、どんなミサが、どんな国歌が聴けるだろうか。敬意を込めて、私も英国国民の1人になったような気持ちで、明日を待っている。

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