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朝の『サバ食』

「食事は命」「食べたもので体は作られる」「癌が消える食事」等々、食事に関しては溢れるような情報。

「朝食が一番大切」と「朝食は抜いたほうがいい」に至ってはどっちを信じていいのか。

わたしの癌を切った主治医は「沢山食べて体力を取り戻そうと思ってはいけない。腹7分目。体重は絶対増やさないこと」

かかりつけの町の診療所のお医者さんは「沢山食べて体重をもっと増やしなさい。そうでないと体力がつかないから。レバーや牛乳、肉を沢山食べて」

主治医は「レバーはコレステロールが溜まりますよ。肉は必要最小限で」

どっちに従ったらいいの?

わたしなりに出した結論。「これを食べたら癌が再発しない」という類の情報は偽物と思うことにした。それができたら医者は必要ない。

「これは食べた方が良い。これは食べない方が良い」という程度の情報は参考にしている。読んで、なるほどと思ったのだ。

毎日、野菜ジュースとハチミツ入りの牛乳。高価ではないし、手軽に続けられる。

ハム、ソーセージなどの加工肉は極力食べない。豚肉牛肉も時折少量だけ。代わりに魚を食べるように努力。これはわたしの食生活の大変動だ。

カルチャースクールで教えるためのエネルギーとして、毎日毎日肉を食べていた。ハムやソーセージもパンに挟んでよく食べた。

これらに「さようなら」して、お魚さんに「よろしく」。

だが、魚は料理が面倒、苦手。けっこう高い。缶詰のサバは飽きてしまう。よほど高い物でないと猫の餌と変わらない。

マグロの刺身なんか、そうそう、たらふくは食べられない。お金が続かない。

ある日娘が「散歩がてら、朝ご飯、外で食べてみない?」

家から歩いて10分ほどの所に「ガスト」「山田うどん」「すき家」などがあって、『朝定食』をやっている。

朝の外食にこんなにはまるとは我ながら思ってもみなかった。往復で約三千歩、これはいい運動になる。上げ膳、据え膳は、有難い。たとえ安い朝定食でも、とっても贅沢をした気分になる。

朝の外食散歩をして、お昼に外出などしたら、一日の歩数は7千歩を超える。こんないい運動はない。

娘の分もわたしが払うから一回千円をちょっと切る。たまに、サラダや小鉢を付けたり、味噌汁をシジミ汁やトン汁にすると千円を超える。

だが、しっかりと、朝定食を食べると昼は抜いてもお腹が空かない。今までのようにコンビニでおやつを買うこともない。朝しっかりお金を使っているから、その辺は自制する。

今は、毎朝、『すき家』の『サバ朝食』。もう一か月続いている。サバが美味しい。塩気がなくてほとんど無味なのがいい。

生協でも冷凍の「サバの味噌煮」とか「サバの塩焼き」とかあるが、味が濃すぎた。生のサバを買うために、車を出して、わざわざスーパーに行くのはめんどうだ。

今まで毎日、夢中で働き、家事をこなし、家政を司ってきた。外食などしなかった。癌の摘出手術を終えてから、わたしは生き方と人生観を変えた。

楽をしよう。食事の準備で疲れるのはバカバカしい。冷凍餃子だの出来合いのポテトサラダだの文句を言う人がいるらしいが、人それぞれの事情がある。

使って何が悪い。

これからは楽して生きたい。好きなことだけしたい。好きな人とだけつきあいたい。家事は出来る限り手抜きする。それが許される年齢になったのだ。

結局、『サバ朝食』がわたしの体にはぴったりだった。サバが私を呼んだのだ。

体の調子が良い。抗癌剤の副作用も最小限に抑えられている感じがする。

大きいサバの塩焼き(ほとんど塩味はしない)に今日は「冷奴」明日は「牛小鉢」を付けよう。

満足して「ごちそうさま」。後片付けもしなくていい。飲み物は家でお茶やコーヒーを飲みたいだけ飲む。

娘となんということはないお喋りをしながら家に帰る。シャワーをを浴びる。至福の贅沢!

3週間毎の血液検査では「腎臓も肝臓にも問題はない。貧血もない。白血球も異常ありません。副作用全然ないですね」と医者は嬉しそうだ。

手足や顔のシミは医者から見れば副作用に入っていないみたい。切々と、縷々とそのつらさを訴えるのにも、もう、疲れた。わたしもにっこり笑って「おかげさまで」

でも、もしかして、サバの力じゃないかしら。シミも薄くなってきた。それとも、一個一万円のシミ取りクリームの効果?給付金で買った贅沢なクリームなんだよなあ、もったいなくて、拝みながら使っている。

どれが効いたか分からないけれど体調が良い。9月まで『サバ朝食』毎朝食べて、抗癌剤治療を乗り切りたい。

それがわたしの生きる道!


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