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私の守り神

玄関を出ると
何処からか大きな揚羽蝶が現れ、
後をついてくる。

ベランダに出ると、
何処からか大きな揚羽蝶が現れ、
近くを飛び回る。

硝子戸越しに外を見ていると、
隣の庭から飛んでくる。
まるで私を待っていたかのように。

揚羽蝶は私の守り神……。
そう思うようになった。

何処かで拾った小石を守り神にする人、
腕時計、ハンカチ、刺繍道具など
様々な身の周りのものを
守り神にする人もいる。

私たちは無意識のうちに
自分の守り神を求めているのかも。

近所の高齢者の方が
亡くなった。
誰かが教えてくれるわけではないが
家の雰囲気で
何となく分かる。

人気のなくなった家の前を
通るのは
心の中が
寒くて寂しい。
付き合っていた人ではなくても。

灼熱のなか、
家に帰ると
揚羽蝶が門の辺りを舞っていた。

私を待っていたみたい。

手をあげ
揚羽蝶に触ろうとした。

もう少しで触れそうなぐらい
揚羽蝶は私の傍に近づいた。

あなたは私の守り神。

                           終わり


 



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