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日本語脳と英語脳 Part8

 ある脳科学者の報告によると、日本人が日本語を機能させる脳細胞(彼はそれを日本語脳と呼んでいた)と、英語を話す民族が英語を機能させる脳細胞(彼はそれを英語脳と呼んでいた)は異なった場所にあるというのだ。英語と日本語を自由に話すことができる帰国子女たちの脳の動きもまたリサーチされていて、これはまた違った脳細胞(彼はそれをバイリンガル脳と命名していた)が機能している。

 それでは日本語脳しか持たぬ日本人が英語を学習するとき、脳はどのような動きをするのか。中学生や高校生に英語的活動──英語を読ませたり、書かせたり、聴かせたり、英語で会話をさせたりして彼らの脳波を追跡したところ、機能するのは日本語脳のみだった。これは誰でも当然のことだと思う。では英語の教師たちはどうであろうか。英語を職業としているのだから、英語脳が活発に脳波の波を作るに違いないという仮説のもとに、中学と高校の英語教師たちに同じように英語的活動をさせて彼らの脳の動きを追跡した。すると結果は中学生や高校生とまったく同じだった。英語教師たちもまた英語的活動──ヒャアリングも、スピーキングも、ライティングも、リーディングも、すべてが日本語脳だけで行われていたのだ。

 こんなデータになったものだからこの脳科学者のレポートは、懐疑的なというよりも絶望的な報告にならざるをえない。彼はそのレポートをこう締めくくるのだ。「この追跡リサーチであきらかになったのは、日本の英語教師たちもまた英語を話すことのできない人々だということがわかった。英語を話すことができるようになるには、英語脳が作られていなければならないのだが、彼らにはその英語脳が開発され開拓されていなかった。英語を職業にしている英語教師たちに英語脳が作られていないとすると、日本人は本質的に英語脳を作ることのできない人種なのだろうか」と。

 すべての日本人が、日本語と英語を自由に使いこなせる民族になるという雄大な理想をもっていま投じられる「草の葉メソッド」は、科学的データから割りだしたこの脳科学者の絶望的懐疑──これが日本の英語の圧倒的現実だった──を打ち砕いで、広く世に浸透させていくにはどうしたらいいのだろうか。

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対話編
──考えてみると、ぼくたちは英語を日本語脳で学習してるわけだよ。
──そうなのよね、あたしたちは英文を日本語に訳しながら読んでいくわよね、日本語に訳してはじめて、そこに何が書かれているかがわかっていくわけだから。
──今年の都立高校の入学試験の問題が、新聞に載ってたけど、英語の試験問題を見て仰天したよ。
──どんなふうに。
──ものすごい量なんだ。それがもう半端じゃない長文を読ませるようになっている。数えたわけじゃないけど、おそらく一千字とか二千字、あるんじゃないかな。
──それって一行一行、日本語に訳しながら読んでいったら、とても最後まで読み切れないということよね。
──そうなんだ。その試験問題が中学生たちに求めているのは、英語を日本語に訳しながら読むな、英語をそのまま読んでいけということなんだろうな。そういう訓練をしていなければ、とうていできない問題だよ。
──だけど、中学校の英語の授業は、いまでもやっぱり一行一行、日本語に訳しながらの授業でしょう。英語を英語のままで読んでいくという力をつけるには、日本の英語教育を根源的に変えなければならないってことよね、
──まさにこのコラムが指摘してるのは、そのことなんだな。英語が話せるようになるには、英語脳をつくりだすトレーニングが不可欠なんだ。ヒャアリングも、スピーキングも、ライティングも、リーディングも。
──速読のトレーニングよね、やさしい英文をたくさん読んで、英語をそのままとらえていく英語目をつくるということよね。
──そう、ヒャリングもまたぼくたちは日本語に訳しながら聞き取ろうとしている。会話って走っている車みたいなものだから、日本語に訳しながら追いかけるなんてことできないから、たちまちわからなくなっていく。
──だから、英語をそそのまま聞き取る英語耳をつくれってことよね。
──そうなんだ、口だって英語を話せる英語口にしなければならないし、手だって英語のスペルが書ける英語手にしなければならない。
──そして頭のなかに英語脳をつくりだしていくってことよね、これってなんだかものすごく大変で、そんなことできるわけがないと思うけど、でもテニスをはじめるとき、テニスなどできなかった体が、練習すれば、テニスコートでボールを打ち合うラリーができる体になっていくわけじゃない。その全身が、テニスができる体になっていくわけよね。それと同じことだと思うのよ。
──そういうことだよね。泳げなかった中学生が、プールに投げ込まれると、その全身が泳げる体になっていく。《草の葉メソッド》はまさにそのシステムで組み立てられているわけだよ。


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日本の英語教育をコペルニクス的転換させようとするコラムです。毎日連続で打ち込まれます。この革命的ムーブメントに参加してください。あなたの力を貸してください。
1 「もう無駄な英語教育をやめてください」
2 「苦悩する日本の英語教師」
3 「英語が話せるようになった」
4 「歴史を変革したスティーブ・ジョブス」
5 「日本語脳と英語脳」
6 「君たちの話す英語はすべて正しい」
7 「デタラメ英語が君の英語を育てていく」

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