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[茶道のキモチ]着物さまざま。何を着ようか楽しくもあり

こんにちは。茶道教授&抹茶カフェ店主のそうみです。

さてさて、怒涛の初釜ウイークも一段落。とても久しぶりにカフェの一角でこの文章を書いています。
初釜では、ふだんにもましてたくさんの方の華やかな装いを見ることができます。和服って本当に多種多様。新調の方もあるでしょうし、おかあさまおばあさま譲りと思われる、すばらしい染めのお召し物に、今ではとても求められないであろうすばらしい帯。ため息が出るほど美しいものです。

思えば若い頃は、いつ何を着たらいいのか、皆目わかりませんでした。訪問着は格が高いとか、小紋で結婚式に行ってはいけない、程度のことは知ってはいましたが、そもそもどれが訪問着でどれが小紋?という感じ。

茶道の世界に足を踏み入れ、茶会ってやっぱ着物で行くものなんだ?!いちいち着付けや髪のセットに美容院に行ってたら破産かも?!それに、地元以外の茶会の時はどうすればいいの?!

30歳の頃、友人のおばあちゃまにお願いして、3か月毎週毎週通い詰めて必死に着付けを学びました。教えていただいたことを絶対に忘れたくなくて、家でも一日一度は着てみたものです。分からないところは次に克服して、何度も何度もくりかえしました。この根性を学校のお勉強で発揮できていたら、ノーベル賞も夢じゃなかったかもしれません。

以来、あっちで茶会があると言えば出かけていき、こちらで特別稽古があると言われれば向う見ずに参加し、30年が経ちました。たいして持っていなかった着物や帯、小物なども、母から先生から近所のおばちゃんからと譲り受け、今では帯締めなど、売るほど引出しに収まっています。

といって、着物って相性もあるんですよね。どんなにいいと思って求めた値の張る着物も、小じわができやすかったり厚ぼったくてどうもしっくりこなかったりということがありますし、はじめは大して好きでもなかったのに着ているうちに体にもなじんでどの帯もよく合い、それを着ていると何かいいことがある、ということも。

場にふさわしく、というのも、本当に少しずつ分かってきました。呉服屋さんや世間の一般常識は今やネットなどでわかることですが、茶道ならでは、流派ならではのルールのようなものもあります。

一つ紋の色無地。これはもうお客様で行く席ならどこでも通用しますから、一枚はあると重宝します。おすすめは地紋がこまやかで美しいもの。色は、最初の一枚はあまり濃すぎず顔映りのいいものを。
訪問着や附下も、初釜などのめでたい席に華やぎを添えます。お若いうちはあまり豪華すぎないほうがいいかもしれません。私の好みですが、古典的な吉祥文様や加賀友禅の季節の草花などが、品よくやさしく見せてくれますし悪目立ちせず場になじむように思います。地味目な私には、ゴージャスな作家ものなどは気後れがしてとてもとても着られませんし。

仲間内での気楽な茶会、お稽古には遊び心のある小紋や帯も。私のお決まりは、雨の日には傘模様の、6月にはかたつむりの、こども教室にはトランプ柄の帯です。お雛様の帯もありまして、3月が待ち遠しくてしかたがありません。

着物は着るもの。タンスに眠らせていても仕方がないし、幸い着る機会もありますから、さんざん着て、お手入れしてお直しして、私が多くの方から譲り受けたように、お若い方に受け継いでもらえたらうれしいことです。


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