第二章とは那須川天心のプロボクシングデビューのことではなくて帝拳のこと
那須川天心がキックボクシングを卒業してプロボクシングへの転向を決めた。
転向の表明は既に去年の頭から決めており、コロナ禍もあってキックを卒業せざるを得なかったようである。
武尊との試合が終わってから本格的にボクシングへの道へ進むべく外国へと出掛けたり猛練習に励んでいたようだ。
そうでなくても武尊との試合が始まる前には既にボクシングに移行していた片鱗を伺わせていた。
武尊をダウンさせたのもパンチだったし、距離を取ったり牽制してたのもパンチでボクシング技術で武尊を完封していた。
ボクシングが上と言うわけではなく、天心がそういう技術を駆使して勝利に導いていただけである。
ボクシングが上ならば、K-1やその他キックで常に上位に立てるかにかかるのだが、別にそうでもない。
地上波のK-1があった頃から日本ランカーや王者レベルのボクサー達がK-1に転向していたが中々結果を出せないでいた。
足も出て来るのでK-1(キックボクシング)の対戦相手との距離に馴染めなかったりもして終わる選手も少なくなかった。
とはいうものの、キックやボクシングを行き来している選手がどこ行っても同程度の実力となればもうボクシングもキックも交流が深まり過ぎて均質化しているのではないかと思ってしまう。
実際にK-1(キックだけでなくMMA)の選手がボクシングジムでボクサー達と一緒に練習していたりすることもあるようである。
日本のボクシングが表向き他の格闘技との交流を一切遮断しているような姿勢を取っていてもジムやボクサーが他の格闘技との交流を公開していたら殆ど意味がない。
尤もジムとしてはお客さんに来て貰わなければ商売が出来ないからであろうが。
JBCのルールブックには元キック王者にB級ライセンスを付与することなんて書かれていないのだが、JBCもキックボクシングの実力を認めてしまっている証拠なのだろうと感じる。
アマチュアボクシング世界王者でもA級ライセンス相当を付与することも別に書かれていないのだが、これも結局アマチュアの世界でもプロ達との交流が深まっていると言うことなのだろう。
それでも結果的にはみんな平均化よりも平板化していて、ボクサーがキックに移動してもそれなりに活躍できるところまではいくが決して頂点には届かず、キックの選手がボクシングをしてもやっぱり決して頂点には届かない。
MMAの場合だとキック上がりもボクシング上がりも直ぐにはモノになるような感じではないようだ。
戦い方も増えるので“修行”を深めないとMMAに順応出来ないようである。
と、これは平均的な格闘家達の動向だが天心がどこまで行くかは分からない。
記者会見は拳四朗を差し置いてメインとなっておりこのままでは興行も拳四朗の3団体統一戦がサブになりそうである。
天心が貼り付けたこの動画に村田諒太VSゲンナジー・ゴロフキンの試合のポスターが映っていた。
第二章というのは天心のことではなく、帝拳のことではないかと推測される。
天心の試合は地上波ではなく“残念ながら”アマゾンプライム放送なのである。
地上波での少ない多分お金では最早ビッグマッチを賄えないと分かってしまっているからだろう。
大きなボクシングはどこもこうしたPPV頼みでお金を払って観る層以外には届かない。
地上波ではどんだけ放送に前向きでも視聴率を稼げなければ次はないのである。
TBSで天心の試合が放送されるかと思ったが、結局帝拳主導でアマゾンプライム頼みになっているということが分かってしまった。
フジテレビにお金がないのは分かっているが、そのTBSも井岡一翔の試合や地域王座のダイジェスト以外は全くボクシングの試合を流さないのである。
武尊が天心と同じように炎の体育会TVに出てもそれは試合ではなくエキシビションしかしないのでどれだけテレビ局が吝嗇っているのか分かってしまう。
体育会TVは10年前の地上波格闘技が一旦消滅した後に頑張って格闘技や格闘家達をさりげなく紹介して来た誇りがあるので、その基本は忘れてはいなかったのだろう。
ボクシングが好きな上田竜也も引き合いに出しているがその上田も30代を疾うに超えてしまっている。
想像出来てしまうが、井岡一翔がグローブを置いたらTBSは地上波格闘技などやらなくなるのだろう。
井岡の件に関しては別の話題で取り上げるが、取り敢えず井岡には後がないのだなと感じる。
井岡にはSANKYOが就いているので井岡が辞めたらSANKYOは今後どうするのだろうと思う。
と思うが、フィールズもヘイワも格闘技のスポンサーをやっていたが今どこの格闘技にも就いていないようである。
いなくなったらいなくなったらである。
時間は無限じゃないので来る日は来るのである。
村田諒太もゴロフキン戦以降ほぼ何も動きはない。
髭も剃ってしまっているし本人もそれが最後と認識しているようだ。
村田だけでなく地域も含めた所属選手達のベルトも悉く失ってしまった帝拳としては天心が来てくれることで助かったのではなかろうか。
天心はキックが中心でもあったが幼少の頃から帝拳で練習していたこともあり、天心にとってもボクシングデビューは帝拳への恩返しなのではと感じる。
京口紘人が言うには天心は一度スーパーバンタム級で様子を見てからバンタム級に階級を落とすのではないかと。
確かに井上尚弥が4団体総浚いしてしまって荒野となってしまったから、それを狙うチャンスでもある。
弟の井上拓真がバンタム級王座を狙おうとしているのでもしかしたら尚弥ではなく拓真とも対決があるのではないかと思ってしまう。
誰かと闘うというよりも帝拳やアマゾンやフジテレビとしては“それで商売したい”という思惑が見え隠れする。
個人的に「誰かと闘う」とならば勝っても負けてもそれで終わってしまう。
世界一の証明としてのベルトを取ることを目標とすればある意味続けられるのである。
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