手抜き介護　130　ドラマを見ない

実家は、２人ともドラマを見ない。でも、昔からNHKの朝ドラと大河は別。父は無類の日本史好きで、NHKだけは信頼できると思っているようだ。私は歴史に興味がなかったから、子どもの頃の日曜８時は、全くつまらなかった。

その習慣は今も続いているのだけど、最近は母が朝ドラを見ない。大河はもともとお付き合いで横にいるようなフシがあったから分かるが、朝ドラは結構好きだったはず。「この人は演技が下手」とか、「朝からワーワーうるさい」とか文句を言いながら見ていた。

ドラマって、登場人物の設定を整理しておく必要があるし、前回までの流れを把握していないと繋がりについていけない。数回前のヒントがやっと意味を成すということもあるから、今の母には少し難しそうだ。

「ちょっとアンタに訊きたいことがあるんだけど」と持って回ったように言ってきたのは、「堺正章が、どうしてこんなに若いの」だった。再放送のちゅらさんを眺めながら、内容ではなく、「何かずいぶん若いなあ」と思うのが母らしい。

父は、日曜日の将棋番組も欠かさない。人づきあいが下手で、外交関係は全部母に任せてきたマイペース派が、今は母よりもしっかりしている。逆にあれこれ細かく気配りしてきたはずの母が、テレビも理解できなくなってきた。でも妻の変化にはとうに気づいているだろう男は、今の生活を変えたくないからか、私に愚痴ることもない。