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手抜き介護 105 不審者

ヘルパーさんが記入しているメモノートに、最近不審者の記述が増えてきた。夜中にインターフォンが鳴ったとか、ドアノブをガチャガチャ回そうとする音がするとか。もちろんこれは、すべて母の訴え。

同じ話を何度もするので、不審者が何人も現れているように見えるけど、多分そんなことはない。画像の記録を見ても夜中のものはないし、映っているのは昼間の宅配の人やヘルパーさんのみ。「素早く帰るから映らないんじゃない?」と母は言うが、そんなばかな。

父は、その類の音を全然聞いたことがないという。客観的に考えるとやっぱり幻聴じゃないのかなと思うけど、私がそんな反応をするものだから矛先がヘルパーさんに向くみたい。「そうなんですか? それは怖いですね!」「心配だわ! 何かあったらすぐ連絡くださいね」という風に期待するリアクションが返ってくるので、精神衛生上は良さそう。

自身の体の不調や、先行きの不安感に誘われる現象かなと思う。振り返ればいつも、悩みや心配事を探しているようなところがあった。父は寄り添って話を聞くようなタイプではないから、この窮状(と思っている現象)を受け止めてくれる人たちがいるだけでも、少し楽になれるのかも。といいながら、どれもこれもだましだましなのは間違いないんだなあ。


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