偽りの友達—英語に似てるチェコ単語
みなさんには偽りの友達がいますか? いざという時に力になってくれなかったり、嘘をついたり、攻撃してきたり、あなたを利用したり、迷惑かけられているのでは…?
…という話ではなく。
チェコ語のテキストや学習の場で、ときどき「falešní přátelé(偽りの友達)」という話題が出てきます。
綴りが同じだったり、発音が近くて、「ああ、チェコ語でも同じ意味なのかな」と思わせる単語のことを「偽りの友達」と呼ぶようです。
英語でfalse frendsと説明されますが、日本語では「空似言葉」というそうです。
今日はチェコ語の中にある英語に似ている「偽りの友達」をご紹介します。
今回ご紹介するのは、完全な空似というよりは、かつてどこかで同じルーツを持っていたであろう友達を紹介します。
🇨🇿kontrola (🇬🇧control)
チェコ語でよく使う動詞「kontrola」。
英語のcontrolを誰もが連想するであろう単語ですが、意味は微妙にちがいます。
チェコ語のkontrolaは「チェック」。
英語や日本語の「コントロール」がもつ「操ること、制御」の意味はありません。
動詞にした「kontrolovat」という形もあります。
チェックという意味なので、旅行ではよく出てきます。
よくチェコや周辺国に旅行していると「パスポートコントロール」とか「切符のコントロール」という表現をする日本人に遭遇することもあるほど、頻度の高い単語です。
ちなみにチェコ語で「操る、制御する」は、řídit、ovládatです。
🇨🇿aktuálně (🇬🇧actually)
「アクチュアリー」というカタカナをときどき日本語でも見聞きすることもあります。
そういえば、かつて「ラブ・アクチュアリー」という映画もありました。
英語のactuallyは副詞ですが、その空似の友達が「aktuálně」です。
チェコ語でaktuálněといえば、大きな災害やスポーツなどの速報につきものの単語です。「更新」「最新の情報」といった意味合いのところによく書いてあります。
英語の「actual」は「実際の」というのがおもな意味ですね。
チェコ語のニュースを見始めたころは最新の情報があるところに「aktuálně」とあるので、なんだか「実際のところはね…」って秘密を明かされるような気持ちでクリックしたものでした。
2005年には「Aktuálně.cz」というニュースサイトまで誕生。
チェコ語で「実際に」は「skutečně」「ve skutečnosti」が相当します。
🇨🇿host (🇬🇧host)
チェコ語と英語で綴りはまったく同じですが、チェコ語では「もてなされる人(=客)」、英語では「もてなす人(=主人)」の意味なので、まったく逆なのです。
まったく逆、というのは違いがはっきりしてそうなものですが、これまた厄介なものです。
チェコ語のテキストではだいたい4課くらいでレストランでの会話を習うのですが、英語で書かれたテキストで「host」と出てくるとどっちがどっちだか本気で危うくなってきます。
いまだに私も「うっ」となる時がありますが、格変化した形やそれを使った表現などに慣れて「客だ」という認識をくりかえし自分に刷り込ませています。
チェコ語で「もてなす人」は「hostitel」といいます。
🇨🇿guma (🇬🇧gum)
チェコ語で文房具の単語を習うとき、「guma」が出てきます。
そうか、消しゴムは「グマ」か、わかりやすいな、と、みなさんスムーズに覚えてくれますが、英語では消しゴムをeraserまたはrubberというため、ゴムっぽくなくなります。
英語のgumは、一般的にはチューインガムを指すようです。
チューインガムはチェコ語で「žvýkačka」です。
🇨🇿sympatický (🇬🇧sympathetic)
チェコ語のsympatickýは「感じのよい」という訳がよく当てられます。
この単語はチェコ語でよく使うようで、教科書の最初のほうに「彼女は感じのよい人です」みたいに出てくることもしばしば。
解説するときはいつも、教室にどことなくふしぎな空気が流れます。
「優しい」とか「怒りんぼの」といったわかりやすい性格、気質を表す単語ではなく、まず出てきちゃうんですよね、「感じのよい」が。
おまえさん、どっから来たんだね。
英語に似たような単語「sympathetic」というのがあるので、なんか関係あるのかなとも一瞬考えますが、こちらは「同情的な、思いやりのある」です。
まあ思いやりがある人は、感じはいいかもしれないが、くらいのつながりでしょうか。
おそらくよく使うがゆえに、チェコ人が英語学習をするときによく引っかかるのだと思われます。
この単語はブログやYouTubeでも、しばしば英語学習者向けに解説されています。
英語の知識があるからと油断していると逆に危険なパターンですが、みなさんはちゃんと区別できているでしょうか。
こういった単語のときだけは、英語がまったくわからないほうが有利になるのもおもしろいところです。
ここまで読んでいただき、とってもうれしいです。サポートという形でご支援いただいたら、それもとってもうれしいです。いっしょにチェコ語を勉強できたらそれがいちばんうれしいです。