あまやどり
ふたりぼっちの散歩道
静かに重なる足音は
同じテンポからずれていく
僕はひとり上の空
遠くの電線を見つめている
突然変異の黒い雲
あなたはひたりと足を止め
手のひらを上にかざし見る
ふたりで駆け込む東屋を
予報にもない夕立ちが襲う
無限に連なる絹の糸
密やかに吸い込まれては
町並みを映す鏡面を穿つ
会話はいらないと拒むように
あなたは目線を合わせない
雨露の如く募る願い
言葉に変えてプレゼントしたら
あなたの瞳は戻るだろうか
二度と帰れない日々さえも
甘く照らし出す罪がある
今にも息が詰まりそう
僕には何もあげられないから
ふたりぼっちで座り込む
幻みたいに掠めた指先
仄かに灯るぬくもりは消えない
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