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はじめてパチンコ店に行った話。

ある日曜日のお昼、前職の上司Eさんと喫茶店へお茶をしばきにいった。
西荻の喫茶店を転々としたあとに、一服したいということで向かいのパチンコ店の喫煙所を拝借することに(わたしは吸わない。喫煙ブースはヤニを煮詰めたようなにおいがした)。

そこでEさんが「今年は初体験を100個する」と言って店内をうろつきだした。わたしもそれについて行き、時々眼光の鋭いおじさんに睨まれながらも店内を一通り歩いた。

乃木坂の台があったら見たかったので個人行動していると、10メートル先でEさんが店員さんに話しかけられているのが見えた。

怒られてるのかな、と思いとりあえず距離をとって様子を伺っていたけど、ルールを教えてくれる優しい店員さんだったみたいだ。偏見はおそろしい。

そのあと、店員さんオススメの『源さん』を打った(わたしはお金がないので見学のつもりだったけどEさんが1000円くれたのでありがたく頂戴した)。

店員さんいわく『源さん』は初心者も打ちやすい台らしい。店内がうるさすぎて聞き取りにくかったが「自分も源さんから始めたんですよ」と言っていた気がする。何をもって打ちやすいのかはわからないが千円札を台に吸い込ませてボタンを押すと銀色の玉が受け皿に落ちてきた。

とりあえず前にあるコレを回せばいいんだろうなということはわかっていたので、勢いよくひねると

「ハンドルを左に戻してくれい!!!!」

という、おそらく源、おそ源さんの馬鹿でかい声が響きわたった。1回言えばわかるのに何度も言ってくる。

ワタワタしていると隣のEさんも「ハンドルを左に戻してくれい!!!!」の洗礼を受けていた。

左隣のお兄さんが怒っていないか様子を見つつ、何を左に戻していいかわからなかったので、左に戻せそうなものは全部左に戻した。

そして改めてコレを回すと、おそ源さんはバカみたいに同じことを繰り返した。慌てて店員さんを呼ぶと、コレ(ハンドル)を回しすぎて右打ち(パチンコ台の右側に玉が入ってしまうこと)になっているので、パチンコ台の左側に玉が落ちるように調節してください、とのことだった。

初心者に手厚い店員さんのおかげでおそ源さんも静かになり、そのまま静かに1000円もなくなった。

きっともうパチンコを打つことはないだろう。

ありがとう店員さん、ありがとう源さん。



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