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『CLOSE』感想 思春期特有のあれやこれやを思い出した話。

こんばんは。
7月初の洋画は数ヶ月前から気になっていた『CLOSE』を観に行きました。

あらすじ【Yahoo映画より引用】

親友同士である13歳のレオ(エデン・ダンブリン)とレミ(グスタフ・ドゥ・ワール)は、学校でもプライベートでも行動を常に共にしていた。だがある日、あまりにも親密すぎることをクラスメートにからかわれたことから、レオはレミへの接し方に戸惑い、彼についそっけない態度をとってしまう。二人の仲は次第にぎくしゃくしていき、ささいなことで大げんかになる。

映画の冒頭はレオの家が所有する花畑の中で追いかけっこして始まる。

まず、なんだこの美しい景色に美しい少年達は⁉︎という絵画のような世界観から引き込まれる。

レオはレミの家ばかり行き、なかなか家に帰らないくらいいつもレミと遊んで過ごしていた。

寝る時も同じベッドで眠り、レミが眠れないと言うとレオはレミが眠れるよう作り話を語る。

レミの両親もレオの事を息子の友達ではなく実子のように可愛がる。

だけど、そんな二人の楽しげにはしゃぐシーンは束の間。

学校が始まると、仲が良すぎる二人を見て周りの子供達は同性のカップルではないかと疑い始める。

最初は否定するレオだが、否定しても否定してもレミ自身レオに比べてあまり社交的な性格ではなくレオにべったりな為、誤解が解ける様子はない。

基本的にはレミからレオの膝によっかかって眠ったり、スキンシップが多く、周りからの目がどうしても気になってしまうレオは徐々にレミからのスキンシップを避けるようになる。

一緒に学校を行く時に並んで走っていた二人の自転車が隣合わなくなっていく。

そしてレミの家に泊まりに行くも、レオは同じベッドではなく横にあった布団へ移動し寝付きが悪いレミを寝かしつける事もなくなる。

翌朝になると、それでもレミが同じ布団に入ってきてレオは来るなとレミを強く拒む。

レミだけ周りの目を気にせず今迄通りにしていたいという気持ちがあり、レオはレミを嫌いになったわけではないが自分達の近すぎる距離感に違和感を感じ始めてレミを避けるようになっていく。 

このすれ違いがただただ切ない。

レオに添い寝を拒まれたレミはどうしてレオに避けられ始めたのかと不安になり、朝食の最中に涙を流すも両親にもレオにも理由を言えずただお腹が痛いからとしか言えないのが苦しかった。

レオには友人が多く、レミ自身にはレオしかいない。

レミだけが依存的になっているのがよくわかる。

冒頭で一緒に追いかけっこしていたお花畑。

だけど、レオが避け始めてからは一緒にいるのにお花畑の別の列を歩く二人。

そして、その後二人が遊んできたそのお花畑は農耕機で刈り取られる。

まるで二人の関係を表しているようにもとれた。

お互いが大好きだったはずなのに途中からレミの一方通行の想いになっていくのが悲しく。

 物語の冒頭でははしゃいで子供らしい表情をたくさん見せていたレオも周りからの視線を感じる事で周りに合わせなきゃ、異常と見られるのは嫌だという思春期特有の感情を持ち表情も大人の表情へと変わっていき、レミだけが冒頭と変わらず懐っこい笑顔を浮かべる対比がえげつない。

そして、レオに避けられ続けたレミはある決断をする。

思春期特有のあの頃抱えた複雑な感情を思い出す一本でした。

『怪物』同様小中学時代のあれやこれやを思い出してしまった。

タイトルのCloseという単語の意味には近いという意味もあれば閉じる,閉める,とざす,ふさぐという意味もある。

二人の当初の距離感を指す近いという意味だけでなくレオがレミを締め出してしまったという解釈ともとれ、さらに切なくなったのだった。


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