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リュックからヘルプマークを外した日のこと。

はじめに、ヘルプマークってなに?という方に簡単な説明です。

ヘルプマークは、援助や配慮を必要としていることが外見からは分からない方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう作成されたマークです。
引用:LITALICO発達ナビ https://h-navi.jp/column/article/35026583

赤地に白色で十字マークのハートが描かれているストラップです。私の住んでいる地域では知名度が低くあまり見かけません。私は普段必要ないかもしれないけれど災害などの緊急時に役に立つかも、と考えて念のためにリュックにつけていました。

以下、私がヘルプマークを外すまでの話です。

高校生のときに放課後等デイサービスに通っていました。障害のある子どもが通う施設です。そこは学童のような場所で、放課後みんなでゲームして遊んでいました。楽しい思い出もあるけれど、みんな障害を持っているので人間関係が難しかったです。

私はA君と関わるのが苦手でした。
とても距離感が近くて、プライベートなことをぐいぐい聞いてきたり、聞いてもいないことを延々と話してきたり。
友人からは「もうはっきり嫌だっていいなよ。ずっと付きまとってくるよ」と言われましたが怖くて何も言えませんでした。運悪く自宅の最寄り駅が同じだったので電車で一緒になることも多く、住んでいるところが知られないように逃げ回る日々でした。A君も鞄にヘルプマークを付けていました。

ある日のデイサービスの帰り、いつも通りA君と会わないように電車を一本遅らせていたはずなのに、彼と会ってしまいました。彼は私を見つけると、私の隣に立って話しかけてきました。逃げるとまた追いかけられるかも、そう考えて適当に相槌を打っていました。

しばらくすると、近くの席に座っていた初老の女性が、ヘルプマークを見て
「あら、お揃いのつけてるの?一緒に座りなさいよ」と席を譲ってくれました。ペアルック、だと思われたのでしょう。私は反射的にありがとうございます、と座ってしまいました。
彼と隣に座っている時間は本当に長く感じました。10分ほど経ったとき彼が「このバンド好きなんだよね?替え歌作ったんだけど」そう言って隣で歌い始めたので違う車両に逃げました。もう限界でした。

家に帰ってから、ヘルプマークをリュックから外しました。そして引き出しの奥に入れました。怖くてずっと避けていた彼とペアルックに思われるなんてぞっとしました。

すぐにA君のことは母に伝えて、デイサービスにも相談しました。デイサービスの先生は私とA君が絶対に会わないように帰宅時間を調整してくれました。もし会ってしまったら怖い、という私に友達はずっと傍にいてくれました。周りの人のおかげでなんとか深い傷を負うことも無く、いまは生活しています。あの女性は善意100%で席を譲ってくれたんだろうと考えると複雑です。

怖い思いをしたので
もう、私はヘルプマークをつけません。

#ヘルプマーク #障害 #助けてくれてありがとう #雑記

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