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移乗は車椅子の要

移乗は車椅子を快適に使うためには、とても重要な要素の1つです。


車椅子の座面は、左右の金属パイプに布が張られています。キャンプの椅子やディレクターズチェアに似た構造です。
このような座面の特徴は、不安定であり、左右どちらかに偏って座ると斜めに傾いてしまうことにあります。

この斜めに傾いてしまう現象を防ぐためには、左右に対して真ん中に座らなければなりません。お尻が傾いた状態で座っていると、腰から背中、肩、首が痛くなったり、体感が横に傾いたり、場合によっては、体幹の変形を引き起こすことがあります。
左右だけでも難しいのに、それだけでは移乗は成功しません。
お尻を奥まで入れなければならないからです。お尻が奥まで入らないと、褥瘡や円背、腰痛、さらには転落を引き起こすかもしれません。

またどんなに完璧なシーティング(車椅子を体にあわせて調整すること)を行ったとしても、シーティングした時と同じように座れなければその効果が期待できません。

つまり、車椅子の座面は広く見えますが、移乗のゴール地点は左右中央の一番奥、実はこの一点を目指さなければならないのです。

非常に残念なことですが、この一点を目指せない場合もあります。日常生活の中で移乗するのは、本人や家族、様々な介護職です。奥まで入れる方法をお伝えしても長年の習慣から変えられない方もいますし、技術的に難しい場合もあります。

その場合は、いつもの移乗の仕方、座り方を前提でシーティングをすることがあります。お尻を奥まで入れられない場合は、奥まで入れなくても骨盤をサポートできる車椅子を準備したり、お尻が座面の中央付近になっても違和感のないクッションを提案したりします。ただ、背張り調整の効力を十分に発揮するためには、お尻を奥まで入れて座ることが理想的です。

車椅子の事業者は体にあった車椅子を提供することはできます。しかし、それを活かせるか否かは、座り方を再現できるか否かにかかっているのです。一日に何度も行われる移乗介助ではありますが、その一回一回を丁寧に一点を目指して行うことが、実は心身に大きな影響を与えるのです。


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