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15年ぶりに『ドラえもん』を観て当たり前に感じたこと。



『ドラえもん』がメインキャストの声優さんが替わってから15年が経った、というニュースを見て、そういえば声優が替わってからほとんど『ドラえもん』を観ていないことに気が付きました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e1318fd5416fc9aaab0b46ef28d5b90de1ef04e8

替わったのは当時僕が中学生の頃なので当然といえば当然なのですが、声優交代をきっかけに【ドラえもんはもう卒業】という感覚が加速していきました。

一度だけテレビのレギュラー放送を見たことがあったのですが、5分もせずに観るのをやめてしまいました。理由は特になく、なんとなく(もう見れないな)と思いました。

決して現在の声優さんが悪いというのを言いたいわけではありません。(そもそも知識もないですし)今回インタビューを読んで大変なプレッシャーとの闘いがあったのだと知りました。認める認めないの話では全くなく、自分が物心つく前より見てきて好きだったものが新たに変化していく時、かつてのファンはそのままフェードアウトしていく選択も存在するのは当然のことのように思っています。

そして、今年30歳になって15年ぶりに映画館で『ドラえもん』を観ました。

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は、長編映画40作目記念作。春休み映画と言えばなドラえもんが、今年はコロナの影響で公開が夏に延びました。今まで恐竜をテーマにしたドラえもん映画はたくさんあり、リメイクも多いイメージでしたが、今作はあの川村元気さん脚本のオリジナル作品のようです。

https://doraeiga.com/2020/index_pc.html

結論から言うと僕は全然楽しめませんでした。年齢的にも対象外だと思いながらチケットを買って、そう思いながら映画館で観てたのですがやはりちゃんと対象の外にいました。当然です。
そもそも完全に大人で、身近に子供もおらず、ついでに東京に揉まれやさぐれてしまい、友情や勇気と一番遠いポジショニングをとっているこの自分が、この作品を2時間じっと観て素直に楽しめるはずがありませんでした。

しかしながら、【ドラえもんを久しぶりに観たOB】として、あの頃との違いについてや思ったことを老害爆発うさぎ跳び強要よろしくな感覚で自由に書きたくなったので、書きました。
以下の内容であります。強く感じた順番です。
※本作1本観ただけなのでいつもは違う、みたいなこと多いのかもしれません。


・のび太君がめちゃくちゃ聞き分けが悪い。

驚きました。久しぶりに出会った野比のび太はとてもわがままなイラつくガキでした。僕が記憶していたのび太君は、テスト0点で学力皆無、逆上がりができない運動音痴、根気がなくヘタレですぐドラえもんの道具を頼る。でも思いやりがあって優しい。ずるはするが人を貶めない。情に厚く、出会った仲間を決して見捨てない男でした。さらに射撃の名手としてかつての映画版では、たくさんの悪者を退治してきました。魔界大冒険でのび太がでっかい心臓にダーツを投げた時は観てる自分もドラえもんたちと一緒に「いけえええええええッ!」と拳握りしめていました。そんな野比のび太は15年経つと、やたらわめくし、とにかく聞き分けの悪い男になってました。ことあるごとに我を通し思い通りにいかないと「だってぇぇ!」「わかってるよ!でもだってぇぇl」と叫んでいました。周りがたしなめても「だってぇぇ!」。途中(この子んち裕福なんかな?)とまるで知らない子を見ているような気分になりました。これで小学5年生か。(これはそもそもですが、小5でのび太の[太]を[犬]って書いちゃうの結構怖いです)
すっかり変わってしまったかつての友人を見て心配になりました。もちろん上記のかつての優しい性格は色濃く残りいい奴ではありました。

ダーツのシーンで思い出したのですが僕は『魔界大冒険』が好きでした。少しダークで怖い描写がある作品で子供向けじゃない部分が多いと思います。リメイク版もあるようなのですが、昔のやつのことを書きます。

まず、時系列が結構難しい。雷の夜いきなり廊下にのび太とドラえもん二人の石像が現れたり、この意味が後からあーーーなるほどと分かる脚本になっていたります。

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(雷鳴ったらいきなり廊下に知らない石像が2体あるのホラー過ぎました)

時空を超えて追いかけてくるメデューサのキャラクターデザインに手加減0だったり、結構トラウマになるキッズたちが多かったんじゃないでしょうか。話がずれてしまいました。

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(メデューサ怖い)


・しずかちゃんがちゃんとエロい。

これはTwitterとかでネタっぽく流れてきて以前から知っていた情報だったのですが、改めて映画版でみて驚きました。しずかちゃん、めちゃくちゃ「女」でした。ドラえもん現役時代の僕はしずかちゃんのことがどこか苦手でした。なんとなく小うるさいし、正論が多くて、しかも出木杉君の線も残している感じが好きになれませんでした。お馴染みのお風呂のシーンも(な~んか色っぽくないねんなぁーしずかちゃんって)と毛も生えて切ってない小学生の自分はお菓子ポリポリ食べながら思っていました。しかし、今回観たしずかちゃんはまず立ち姿や所作がなんか色ぽく、弱々しくまさにヒロインぽい(『耳をすばせば』の雫のような)、一生守ってやれよのび太!と結婚前夜まで思いが馳せてしまうようなキャラクターになっていました。そして今でも、いつもの覗いちゃった型ハプニングではありませんがお風呂のシーンも登場しました。(もはや水戸黄門における由美かおる的な、入浴シーンは必須シーンなのでしょうか)序盤で立ち姿や所作の変化に気が付き、色っぽいしずかちゃんを確認した時、僕は(大丈夫か!?この感じでお風呂シーン登場して大丈夫か、ちゃんとエロとして見てしまうぞ俺は!)と気持ち悪すぎる感情で観ていました。こんなこと10行以上も割いて書くことではないことだと、今、気が付きました。


・ドラえもんが抜けていることが多い。

ドラえもんに対して(あんたはしっかりしててくれよ!)と思う場面が多くありました。敵が迫り来る中、四次元ポケットから目当ての道具が出てこなくて焦る!みたいなことは昔もあったのですが、それが今作は異様に多い。(何回やんねんそれ!寝る前に整理しといてよ!)と思わずにいられませんでした。

よく考えたらかつてのび太たちとドラえもんの関係性は友人でありながらもドラえもんがどこか保護者のような立ち位置の印象がありました。それは原作がそうであるように、のび太君を叱責する場面もアニメにおいても多かったのです。が、今は完全に友人でありながらも一緒に天然でした。いつも正しくい続けるには風当たりの強い世に中になったからでしょうか。精神年齢としてはのび太がちょっと下がり、ドラえもんがさらにぐっっっと下がった感じです。ボーダレスでフラットで、差分のない、これが今求められている友情関係なのか、とも思いました。


・ジャイアンが怖くないし、スネ夫が憎くない。

ジャイアンもスネ夫も可愛らしかったです。まずジャイアンの体型なのですが、完全に肥満児でした。かつてのジャイアンは小川直也のようなプロレスラー体型というか、脂肪の下に筋肉ありそうだな、といった体型でした。今はバター・ビーンのようにおデブちゃんでした。かつては、乾いた目の理不尽で横暴な巨漢男子、正直断ったら何されるか分からないあの得も言えぬ怖さがあったのですが、今はそんなに酷いことはされなさそうだな、と言った優しさ大めな感じでした。さらにスネ夫はあの陰湿でずるい、いわゆるスネ夫感をあまり感じませんでした。昔は、ラジコンをのび太にだけ操作させない成金のノリにのび太君と一緒に僕も「そんなぁ…」と思いましたし、同時にこんな理不尽なことがまかり通る世の中でいいのか、と激しく憤ったのを覚えています。それでも『のび太の結婚前夜』で祝杯をあげながらする旧友たちの会話はお互いをリスペクトしあっている雰囲気を感じ、(大人になるってすごいことだな)と思ったことを覚えています。(さらにのび太がマドンナしずかちゃんを射止め最後に弱者が勝つ感じも気持ちよかったです)なので、今のドラえもんチームは精神的距離感が近く、自分と他人の境界線が曖昧でウェットな関係性を求め合っているのかもしれません。

・映像がすごい

頭の悪い目次ですが、映像すごかったです。恐竜の登場シーンはVFX全力でした。ティラノサウルスに追いかけられるシーンはUSJでデロリアンのアトラクションに乗った時を思い出しました。昔より迫力ある映像に慣れていくキッズたちは、世に産み落とされて数年でこんな映像を見させられるのか。刺激不感症になって、大人になったら殴られないと感じない、死ぬまで殺り合う体になってしまわないのかが勝手に心配です。

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以上です。大きく分けたらこんな感じでした。

30にして懐古主義な傾向は少し焦りを覚えますが、思ったこと書きました。しかしながら決して現在の作品を否定したいわけではないつもりです。藤子先生へのリスペクト、原作のイズムを損なわないように注意を払いながら、それぞれ時代性にチューニングを合わせながら行う変化は絶対的に必要だと思っています。

でも、面白くはなかったです。一緒に暮らしてきた恐竜に対して「君の名前は、、キュー!」と言うところや、隕石落ちてくるのに間に合うか、みたいな演出を見てさらに脚本が誰かも頭によぎって(今!ここでRADWIMPS!)と思いましたが、流れたのはミスチルでした。

恐竜の鳴き声が「キュ⤴︎(嬉しい)」「キュ⤵︎(悲しい)」と言語ではないものの、感情表現がほとんど人間なのが嫌でした。『もののけ姫』のヤックルぐらい静かな意思表示の方がいいなと思いました。

最後に2つ乱暴な感想を入れてしまいましたが、自分に子供ができて子供と観に行ったら感じ方も変わってくるのでしょうか。
変わってほしいと思いますし、変わって欲しくないなとも思います。とりあえず、今は面白くなかったです。ありがとうございました。


※有益性の無い文章なのでせめて上映中の劇場が見れる公式ホームページを載せたいと思います。↓
https://theater.toho.co.jp/toho_theaterlist/doraemon2020.html



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