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母親という役割を与えられたということは。

母親って、何だろう。

母親という役割に、苦しんでいる人も多い。

毎日自分のことは後回しで、子供の世話をする。
気がついたら1日が終わっている。
部屋は散らかり、家事をしている最中も子供は母親を求めて騒ぎ、夜もなかなか寝てくれない。

子供がいないうちは癒しの時間だったお風呂も、子供と一緒だと大変。
シャンプーの香りをたのしむことも、いい香りのスクラブでお肌のケアをすることも、ゆっくり湯船に浸かってボーッとすることもできない。

極め付けに、スキンケアも、髪を乾かすことさえゆっくりなんてできやしない。

あまりにも自分が後回しになって、ストレスが溜まって爆発して、後から自己嫌悪に陥る。

私が母親でこの子は幸せなのかな?

子供の寝顔を見ながら答えの出ない疑問が頭を掠める。


そんな毎日が続く中で、育児休暇を取っている女性は(男性もいるが、ここではそれは置いておいておくとして。)選択を迫られる。

復職するか?
退職するか?
転職するか?


私もそうだった。
息子、1歳8ヶ月。
延長し続けた育児休暇の終わりが見えてきた。

2023年の後半から、私の内なる声はこう囁いていた。

『今は母親でありなさい』

その声がどんどん大きくなっていき、年末、母親という役割に全勢力を注ぐ覚悟ができない自分に向き合わされた。


欲を手放す


年末、我が家に問題が起こった。
収入を支出が上回ったのだ。
私は自分の物欲と向き合っている最中だったが、夫の支出が高額だった。最近よく行くなぁと思っていた、ゴルフである。

私たちは仲はいいけれど基本的にあまりお互いに干渉しないし束縛もしない。
ゴルフも、よく行くなぁと思ってはいたけど、止めたり行くことを渋ったりはしなかった。

しかし、赤字になるなら話は別である。

ただ、ここで大切なのは、問題は夫にあるのではないということだ。
夫婦は鏡だ。
夫の中に問題を見たのなら、それは私の問題であるということだ。

そこから私は自分の中の『欲』に本格的に向き合い始めた。

欲をエンジンにして動くことを一切ストップした。

そして、買い物から何から、『与える』という事を意識して行うようにしたら、息子に私の1日を捧げるということが、とても尊く幸せな事だと感じるようになった。

今までの私は、『やってあげている』と思っていた。
世話してあげている。
私の時間を割いてあげている。

でも、それは違うということに気がついた。

そう思っていたのは、欲をエンジンに動いていたからだった。

私は、息子から『母親という役割』という贈り物をもらっていたのだ。
それは、人生の中で間違いなくいちばんの宝物になるギフトだった。

そしてその意味で私たちは対等だ。
私が『やってあげている』事なんて何一つなかったのだ。

母親という経験は、誰もが得られるものではない。
そして何よりも自分を大きく成長させる絶好の機会だ。

子供は体を張って、全力で私の改善すべき向き合うべき穢れを見せてくれる。
とんでもない速さで成長しながら、私の引っ張り上げてくれる。
私は息子の成長にあわせて、自分をアップデートしていかないといけない。

自分の中に付着した不要な観念を、手放して、手放して、手放し続ける。

そして、それを意識して生活していたある日、息子が今まで以上に愛しくてたまらない存在だと感じて、『まだ離れたくない』と思った。

本気で思った。

そしてその気持ちのままに、祈った。

『どうか、母親という役割に集中させてください。』

その夜、私は夢を見た。
オーロラ色に輝く昇龍の夢だった。
ストーリーはなく、パッと2匹の美しい龍が天に昇っていくシーンだけを見て起きた。

そしてその日、フリーランスの夫に安定した収入の柱になるような仕事の依頼が入ったのだ。
もちろん、夫のゴルフ欲も落ち着いた。

私は、復職も転職もせず、自分の承認欲求のままにもがくこともせず、母親という役割に集中することに決めた。
人生が母親以外の役割を私に与えるその時まで。


去年1年間、試されていたんだなぁと今となっては思う。

『本当に、人生の流れに身を委ねる覚悟はできているのか?』

不安や心配や恐れから、復職や転職を選ぶ道
承認欲求から、自己実現を選ぶ道
自分の深い深いところから聴こえる内なる声に従って、母親という役割を全うする道

その全てを見せて。


母親という経験が、私の今後の人生に大きな影響を与えるのだろうという予感がする。

それが何なのかはまだわからないけど、それはいつものことだ。
人生の先の先を見せてはくれない。
誠実に粛々と、自分と向き合いながら、良質な忍耐を持って生きたとき、ポンとご褒美のように道は現れる。
それはそれは完璧なタイミングで。

それまでは、私は息子の母親として、日々自分をアップデートしていくのだ。

息子も、そんな意識で生きる母親を持つ運命にあったのだ。
約束してきた役割。
ちゃんと約束を守る覚悟ができてよかった。

息子よ、これからもこんな母をどうぞよろしく。
がんばります。

そして、私たちの生活を支えてくれている夫に、最大限の尊敬と愛を込めて。

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