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【旅note】クロアチア / 幻となった青の洞窟

昔訪れた憧れの場所。そのときの感動。心情。
日記もつけず、言葉に残していなかった記憶。

わたしはとても忘れっぽい。過去を振り返る習性がないので、そもそも写真が無いとほとんど何も思い出せない。写真を見返しても尚、年々記憶が曖昧になり、それが実際に行ったところなのか、行きたかったけど行けなかったところなのかさえ怪しくなってくる(重症)。

思い出せるうちに。覚えていたいことを。

過去に訪れた旅先での、忘れてしまいそうな、けれど忘れたくない思い出たちを旅noteとして書き留めておこうと思った。今回はクロアチア🇭🇷。

■ クロアチア / ヴィス島 & フヴァル島

わたしは紅の豚が大好きだ。ジブリの中で一番好きだ。もう何年もあの豚さん(ポルコ)に恋をしている。

クロアチアに、ポルコの隠れ家のモデルと言われている島がある。ネットで見てみると本当に瓜二つ。ヴィス島のStiniva beachという所らしい。

ポルコの隠れ家の近くにはクロアチア版 青の洞窟がある。スプリット発「Blue cave and Stiniva beach excursion」という何とも魅力的な現地ツアーを発見したわたしは、意気揚々と友人の分もまとめて3人分のツアーを申し込んだ。

ツアー当日の朝、スプリットの港にはたくさんのボートが停まっていた。
「どのボートかな~楽しみだね~」と暢気に会話をしながら集合場所につくと、そこには15人乗りくらいのゴムボートがあった。

「え・・・これ?」

周りにいくらでもスタイリッシュなボートがある中の、ゴムボート。大分テンションが下がったものの、目的地に思いを馳せて気を取り直す。

猛スピードのゴムボートで外海を90分。
この恐ろしさを想像出来るだろうか。

その日は波が高く海は大荒れ。ゴムボートなので上下左右に揺れる、揺れる。わたしたちが座った最後尾は特に風と波の影響をもろに受けたのか、他の人たちがピンピンしている中、我々3人だけが満身創痍だった。

やっとの思いで、どこだかわからない小さな入り江に到着した。
(この時点で友人の1人は吐きそうだった…。)

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ここはどこ?という疑問は解消されぬまま、船長はどこかに消え、炎天下の中30分だか1時間だか待たされた。

結局ここはどこだったのか、今でもわからない。今まで見たどこよりも綺麗な海だった。

そして船長はどこからか帰ってくるなり「今日は波が高くて青の洞窟には入れません。引き返します。」

ええええええ。

これでは「高波の中ゴムボートに乗ろう!恐怖体験(90分コース)」だ。ショックが大きすぎる。

いや、そもそも波が高いと青の洞窟に入れないのはわかるが(ホームページにも書いてある)、Stiniva beachは?ビーチも波が高くて入れないの?そんな馬鹿な。

細かい説明は一切なし。
一行はスプリットに引き返すことに。

あぁ、憧れのポルコの隠れ家が…。

ジェントルマン文化に若干期待したが、誰も席は変わってくれなかった。帰りは風向きの関係で90分間、波しぶきを受け続けた。波しぶきは強風と共に吹きつけるので、もはや痛い。全身をタオルでくるみ、手すりにしがみつき、丸くなって身を守った。

8月のど真ん中。晴天。外はじりじりとする暑さ。それなのにボートの上で震えている。船酔いと冷えで、友人は2人とも体調が悪くなってしまった。

そんな中、またもやどこだかわからない入り江に連れていかれた。どうやら船長のお友達がやっているレストランのようだ(私情挟んできた…)。

この暑い日に、凍えながら焚き火にあたって、あったまるよとグラッパ(強めのお酒)を渡される。

この時点でどうやらスプリットに戻ると思っているのはわたしたちだけのようだ。あれよあれよと言う間にランチの後はフヴァル島に寄ることになっていた。

何々?なんでなんで?困惑するわたしたちに気づいた乗客のお姉さんが状況を説明してくれた。 

ここからスプリットの港に戻ってリファンド( 返金)を受けるか、そのままフヴァル島に行くかの二択となり、他の乗客は皆フヴァル島に行きたいらしい。

わたしたちは帰りたかった。青の洞窟とビーチ。目的地のどちらにも行けず、その上体調も悪い。その代替案の島については何も知らない。このまま港に帰ってせめてリファンドを受けたい。

お姉さんが「あなたたち本当に大丈夫?」と気遣ってくれたことに少し救われたが、結局は多数決でフヴァル島に行くことになった。

イヤイヤながら立ち寄ったフヴァル島は控えめに言って最高だった。( トップの写真もフヴァル島です)。

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短い滞在時間の中で街歩きを楽しんだ。
本当は1日かけてゆっくりと見て回りたかった。

3人とも行きたくないと言っていたことなどすっかり忘れてフヴァル島を満喫した。帰国後に他の友人に勧めたくなるほど素敵なところだった。

スプリットの港に到着しボートから降りると、船長から「ツアーカウンターに行ってリファンド受けられるか聞いてみたら?」と言われた。

友人2人は行こう行こうと乗り気だ(拙い英語でクレームするのはわたし…)。しかし自分が計画したツアーで友人が2人とも辛い目にあった。それが本当に悲しくて、少しでもリファンドされるなら、と行ってみることに。

ツアー会社のオフィスにいたお姉さんに話を聞くと、8月末には波が高くなり洞窟に入れない日が増える。そのためわたしが予約したツアーは中止となり、今はヴィス島とフヴァル島を組み合わせた別のプランを出している。今日集まったのは皆その新しいプランに申し込んだ人々だという。

衝撃の事実!

残りの乗客たちはわたしたちと違って、最初からフヴァル島に行く予定だったのだ。元々組まれていた旅程。そりゃ誰も文句を言わないわけだ。
わたしたちと彼らのツアーでは、もちろんツアー料金も異なる。

「安いツアー料金で高いプランに行けたんだからよかったじゃない。」

そんなニュアンスの話し方をされて腹が立った。ぷつん

そもそもStiniva beachに行かないならツアーに申し込んでない。

ツアー内容が変更になるなら事前に連絡すべきじゃないのか。

出発の1週間前ににホームページを確認したら、わたしが予約したツアーは出てこなくなっていた。不思議に思い問い合わせのメールをしたがそれに対する返事はなく、当日の集合場所の連絡が返ってきた。「返事がきたんだから大丈夫か。」と思ったわたしが甘かった…。

そもそもホームページのボートはちゃんとしたボートの写真だったよね?客はホームページのボートを想定して準備するし、あそこまで濡れるなんて書いていない。友人は揺れと波で具合が悪くなってしまってわたしはとても悲しい…。

最後は情に訴えかけた。

結局ボスにその場で電話してもらい、現金でリファンドを受け取った。

いくらかは忘れてしまったが、受け取ったお金で少し豪華な夕飯を食べた。

「フヴァル島、最高だったね〜♡」

「いやでもあのボートには二度と乗りたくないね…!」

その日の夜には笑い話になったけれど、今でも苦い思い出としてわたしの記憶に刻まれている。

そしてあの小さな入江の海の色が忘れられない。

***

クロアチアを訪れたのはもう何年も前のことです。再訪したくてたまりません。

プリトヴィッツェの大自然。 

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ドゥブロヴニクの旧市街。

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ごはんも美味しいです(イタリア人に言わせればあれはイタリアンじゃないらしいですが、日本人の舌では十分美味しいイタリアンでした)。

クロアチアの旅、とってもとってもおすすめです。ツアーの選択にはくれぐれも気をつけて。








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