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『ミトンとふびん』読書感想文
吉本ばななさんの『ミトンとふびん』
図書館で偶然見つけて借りた本です。
どの作品も悲しいお話の短編集でしたが、不思議と読後は悲しみよりも安らぎを感じました。
読んでいくうちに自然と心が癒されるような、そんな気分が味わえました。
近しい人との別れは辛さもひとしおです。
祖母を亡くした時には泣いても泣いても悲しみが尽きることはなく、もう普通の日々を過ごしていくことなんてできないのではないかと思っていました。
でも、そんな日々を重ねながらも、いつの間にか日常を生きていけるようになるのです。
それが、「日にち薬」というものなのか。
だから作中の悲しみも追体験しながら共感できる。
どれもよかったのだけれど、一番好きだったのは『珊瑚のリング』です。
母を亡くしてからの父との時間と、母の分まで過ごすこまごました整理に要する時間が流れていくさまが読んでいて心地よかった。
「日にち薬」ならぬ、「読む薬」なのです。
本当に心穏やかにしてくれるお話でした。
何気ない日常の中にある小さな幸せたちを見逃さないように生きていきたい…そう思います。
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