面接を通して悟りを開くまで

うそうそうそうそ
ちょっと待って待って待って。

オンライン面接開始10分前になって
ネット接続ができていないことに
パニックになる。

え？
なんでや。
さっきまでできてたやんか。

切羽詰まっている人間ほど
怖いもの知らずはいない。

がちゃがちゃ色んなところを
いじくりまわし
本番2分前にやっとZoomを開けた。

コロナ禍で就活がずいぶん変わったけど
Web面接のネックはこういうところだよね。

インターネットありがたや。
どこにいても繋がれる。

でもトラブルあったら役立たず。

娯楽も半減。
ビジネスも世界も回らない。

なんにもできやしないんだ。
なんてどうでもいいことを考える。

◇

30分後

「ありがとうございました、失礼いたします。」

お辞儀をして顔を上げると、
見るからに疲れ切った
自分の顔が
黒くなった画面上に映し出された。

終わった瞬間の安堵感ったらない。
一気に脱力した。

机に突っ伏し
ため息をつく。

頭がガンガン痛い。

久しぶりに装着したコンタクトレンズで
目がショボショボする。

携帯の画面には
エージェントから颯爽と届いた
面接の感想お願いしますメール。

なんだかなあ。

それに
「今日はこれで終わり」じゃない。

この後は、大量に届いた求人メールをさばかなきゃ
いけない。

企業からの連絡に返信しなきゃ
いけない。

お祈りメールに心を
痛めなきゃいけない。

面接対策も企業研究も
しなきゃいけない。

・・・あれ

ちょっと待てよ

これ、受かるまで続けるの？

一年前の自分に関心する。

よくもまあ
やってたねえ私。

まあ、イヤイヤやっていたんだろうけど。

今仕事している人たちはみんな、
似たような経験してきたんだろうな。

すごいですほんと。

就活真っただ中の私、
勝手ながら感動しております。

街中見渡すと
みーんな勤め人。

ああ、あなた方
一体どんなことやって
そこまでたどり着いたの

仏様でも見るような穏やかな気持ちで
思わず手を合わせそうになった。

そんな場合じゃないですよね。
ハイ。