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コカリナという木の笛を演奏する音楽家です。時々小説、エッセーも書きます。10月小説「独…

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コカリナという木の笛を演奏する音楽家です。時々小説、エッセーも書きます。10月小説「独鈷山(とっこざん」が文芸社より発売になります。

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少年と少年 あらすじ

#週刊少年マガジン原作大賞 #連載部門 第一話 第二話 第三話 1945年8月6日朝6時に広島の西25キロの所にある家を出た13才の少年ゴローと午前1時45分に広島から2700キロ南にあるテニアン島を出発したリトルボーイ(小さな少年)が8時16分に広島で出会う話。リトルボーイは8時15分17秒、高度8000メートルの広島の空に飛び出した。ヒットラーの仲間の日本軍をやっつけるために。午前8時15分50秒。オイラの下に人が見えてきた。でもそこにいたのは軍隊ではなくオイラと同じリト

    • 少年と少年 第3話

      「黒いモノが家の陰に隠れた」 と佐藤が言い終わったその時だ。              ∞∞∞ オイラの叫びもむなしく、高性能の「八木アンテナ」が地上から跳ね返ってくる電波をキャッチしてしまった。そして点火装置の回路がつながった。 1945年8月6日、午前8時16分0、4秒、点火された爆薬が爆発、オイラのお尻の部分にあったコーラのビンぐらいのウラン235の塊が頭の所にある、やっぱりコーラの瓶ぐらいのウラン235にぶつけられた。たったそれだけのことで。オイラの体の中にある数ミリ

      • 少年と少年 第2話

        第2話 汽車が遅れ、心配したけれど、集合の8時少し前に水主町に着くことができた。 もう、1年生全員と、3年B組合わせて約120人が集合していた。 佐藤はすぐに3年B組の所に行き、川島先輩を見つけ出し、 「妹さんに会いました」と言っていた。川島先輩も嬉しそうに応えていた。 点呼が終わると作業に取りかかる。 運動会の綱引きで使うような太いロープを大きな家の2階の柱にくくりつけ、憲兵さんの「始め!」の合図で、みんなで「ヨイショ、ヨイショ」と引っ張る。初めて建物疎開をやった時は、こん

        • 少年と少年  第1話

          1945年、夏の事です。 8月6日、僕は朝、6時に家を出た。 僕の家は日本国、広島県佐伯郡大野。 僕の名前は川口ゴロー。 年は13才。 大野は広島市の西、約25キロのところにあるのどかな所だ。 目の前に美しい瀬戸内海が広がり、対岸にはあの日本三景のひとつ安芸の宮島を望むことができる。気候も温暖な上、瀬戸内海の恩恵を受け、農業、漁業に適し、人々はゆったりと暮らしていた。国鉄山陽線が海岸の側を走り、広島に出るのも便利だ。 僕は広島市内にある松本工業中学の1年。僕の家族は 祖母

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