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俳句 墓守り

     墓守りの蛙よいつも一人のおまえ

     新涼や墓掃除する腕に風

     手を合わす手に盆の香墓参り
              香…こう

 
 早朝 日が高くなる前にと墓参りにいきました。ここ数年 コロナの頃から お盆の時期にいつも蛙が居ります。昨年は 彫られた文字の窪みに、今日は古いほうの墓石に。
 山の上から望む景色が好きで、ここに眠るのは悪くないと思えます。

この辺りの墓事情を少し
 むかし、ここに嫁して驚いたのは、墓付きの家が 多くあったことです。今は お寺の続き地にお墓があるのが一般的になりました。或いは 自治体が整備した墓地などです。

 今も、その名残りのように 田の中に忽然とある墓などがあります。墓は死者の家で、そういうところでは 死と生は分かち難くあり、亡くなりましても、家のそばの家(墓)に住む と考えておられる ような翁 媼 もかつてはおられました…。
 死に対する考え方も世代により 様々で、現在は 分かりかねます。
 私がここに来た時は火葬が一般的でしたが、一つ前の代まで 土葬でした。墓も個人墓です。
 義父の葬儀は河原を歩いての長い葬列を体験しました。魂の野辺送り 焼き場までを歩いて行くのです。地域総出の葬列は 私には珍しく 感慨深く 弔うとはこういうことかと感じ入りました。十数年後の義母の時は もうそれは行われませんでした。

 一つ一つの墓石に刻まれた名前もゆかしく 苔むした石にすでに判別できない文字の丸い墓石もあります。
 まるで 遺跡のような風情です。やがて、草に埋もれ 自然に還るような埋葬を密かに夢想するのです。


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