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奇跡の湖「水月湖の年縞(ねんこう)」ってなに?


#表紙の写真は福井県年縞博物館の画像です

ちょっと地味な話ですが、
「年縞(ねんこう)」をご存知でしょうか。

ご存知ない?
フツウそうでしょうね。
私も知りませんでした。
この記事を読むまでは。

年縞(ねんこう)とは
湖底などの堆積物によってできた縞模様のこと。縞模様は季節ごとに異なるものが堆積することにより形成される。春から秋にかけては土やプランクトンの死がいなどの有機物による暗い層が、晩秋から冬にかけては、湖水からでる鉄分や大陸からの黄砂などの粘土鉱物等によりできた明るい層が1年をかけ平均0.7mmの厚さで形成される。

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#写真は産経ニュースの画像です。

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「地層」や「年輪」のようなものですね。

海底の蓄積物が
プレートの動きで隆起して
山になった

みたいな話は、ブラタモリでよくやってます。

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そうなんです。
たいていは地殻変動で隆起したり、
波や生き物の活動でかき混ぜられたり
長い年月をかけて変化するんです。

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ところが。

福井県の水月湖は、
複数の条件が重なり、
それが起きなかった。

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なんと、

7万年以上
乱れのない年縞(ねんこう)が
積み重なっている


というから驚きです。

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7万年前というと、
ホモ・サピエンスがアフリカを出たころとも
衣服を着始めたころともいわれています。
ホモ・サピエンスの全てを知っていそうです。

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水月湖に年縞(ねんこう)ができた条件

①湖に流れ込む大きな河川がなく、
 水の動きがほとんどないこと

②周囲が山に囲まれていて風が吹かず、
 波がおこりにくいこと

③水深が最大34mと深く、波もないことから
 湖底近くには酸素がなく、生物がいないこと

④周囲の断層の影響で、長年、少しずつ沈降
 しているため、湖が埋まらないこと

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日本には、水月湖の他に
新潟の一ノ目潟、立山のミクリガ池など
7つの湖で年縞が確認されていますが
水月湖のように7万年もの連続性
もったものはなく

水月湖は世界的にみても珍しい「奇跡の湖」
ということができます。

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2012年にはユネスコで開催された
「第21回国際放射性炭素会議」で
地質年代の世界標準として認定され
世界の「レイク・スイゲツ」に。

それまでの炭素をつかった測定と比べて
年代測定の精度が飛躍的に高まったそうです。

すごいっ。

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過去の異常気象や災害を解明することで
未来予測が可能に

年縞から過去の気候変動を読み解くことで、
未来の気候変動の予測も可能になります。

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正しく「歴史に学ぶ」ですね。

ちょっと地味だけど、
地球の未来を知るための非常に重要な活動です。

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年代測定の世界標準
「レイク・スイゲツ」

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#写真は福井県年縞博物館の画像です。


ぜひ、訪れてみたいです。


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研究者の中川 毅さんの書籍です。

福井県・水月湖に堆積する「年縞」。何万年も前の出来事を年輪のように1年刻みで記録した地層で、現在、年代測定の世界標準となっている。その年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」だった。人類は誕生から20万年、そのほとんどを現代とはまるで似ていない、気候激変の時代を生き延びてきたのだった。過去の詳細な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめ直します。