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「ウマ娘とは関係ない。本文とは関係ない」というお話し

今日、オレは男になる。

いや、別に性転換の手術をするわけではない。
生粋の男だし、恋愛対象は女性だ。
SNSにもそう書いている。

つまりは、あれだ。
彼女と初めて愛を確かめ合うわけだ。

え?いや、そうじゃないって。
オレも彼女を愛してるし、彼女もオレを愛している。
そこはもう確認済みで、そう、アレをするわけですよ。

オレも初めての体験だが、彼女も初めての体験のはずだ。
初めてお互いの生まれたままの姿を見て、オレはあまりの彼女の姿の美しさに反応してしまった。
体の一部が硬化したわけだ。
いや、変身とかそういうんじゃないんだ。
男にしかわからない、海綿体に血が流れ込んでなるやつだ。

その反応を見て彼女は恥ずかしそうに「すごいね」とつぶやいた。
いや、それはオレのセリフなのだが、と彼女の胸に視線を奪われながら思った。
思いながら生唾を飲み込むのが精一杯で、ドキドキが止まらずに言葉が口から出てきてくれない。

「いつも見てる弟のと全然違う」

彼女の弟は何度か彼女の話しにも出てきている。
今小学校6年生だったはずだ。
姉弟の仲はいいらしく、時々弟に嫉妬をしてしまうときがあるくらいだ。
そうそう、弟くんはウマ娘が好きなのか、友達からは「ルドルフ」というあだ名で呼ばれているらしい。

そんな彼女のセリフを聞いて、オレはなんとかつばを飲み込んでカラカラになった喉に潤いを与え、緊張を隠すために精一杯のかっこつけて言った。

「そうかい。弟くんのより、立派だろう?」

そんなオレの精一杯のセリフを聞いて、彼女はこういった。

「ううん、違うの。弟の方が大きくて立派なの」

ウマ娘じゃなくて、ウマ並ということか。
オレのプライドは見事に木っ端微塵となった。

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