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「お前の○はなに色だーっ」というお話し

いよいよこんな日がくるとは。
いつかくるとは思っていたが、いつまでも来て欲しくないと思っていた。

そうそう、最近髪の毛が薄くなってきてね。
いつかくるとは思っていたが、って違うわ。
誰が頭頂部が薄くなってきてリアル鳥の巣頭やねん。

一人暮らしをして、すっかりうちに寄らなくなった娘。
そう、あの時は自慢の娘が体を売ったりしてるんじゃないかと思ってたら、やはり娘は信じるに足る娘であった。

いや〜あの後は大変だったんだよ。
普通、自分の親のLINEをブロックする?
いや、LINE送っても既読つかないな〜これがいわゆる未読無視かよ〜
なんて思って妻に「いや、参ったね」なんて言ってたら「あの子、お父さんのアカウントブロックしたって」なんていうからね。
もうね、大黒柱をなんだと思ってるんだっていってやったんですよ。
そしたら妻はこう言った。
「最近は柱に頼らずに壁で建物を支える工法ってのもあるんですよ?」ってね。
ちょっと一級建築士の資格をもってやがるからって。
そんなら屏風の虎を出してみやがれっていうんだよ。
いや、それは一休か。

それからの私はことあるごとに娘の機嫌をとりまくって、ようやく娘が許してくれて、元通りの仲良し親子に戻ることができたのだ。
え?諦めたから?なんてことをいうんだキミは。

おっとだいぶ脱線していまったが、そんな娘が紹介したい人がいるから連れてくるという。
私の娘ならモテないわけがないと思っていたが、いざそうなると「いやいや、そうじゃなくて」とか自律神経が相当乱れ始めてしまう。
だってしょうがないじゃない。父親だもの。

と、悠長なことをいっているが、もう駅についてこっちに向かっているのだとか。

「ピンポーン」

卓球ではない。
呼び鈴の音だ。
え?そんなことはしってる?

妻が玄関に迎えにいって挨拶をしている。
「まぁ、こんな気を使わなくても」
なんて階下で声がする。
手土産をもってくるくらいの気の使い方はできるやつらしい。

と、妻が呼びにきた。
しょうがない、顔だけでもみてやるとするか。

「こんにちは。はじめまして。私、田中哲也と申します。よろしくお願いいたします」
「おぅ。父だ。よろしく」
「お父さん、田中さんはね、私と同じ会社なの。営業の成績もよくて、会社でもみんなから頼られてるんだよ?」
「ちょ・・・そんなことないよ。あんまりハードルあげないでよ・・・」
「そうか。どうなんだね、二人は、つきあってるのかね?」
「はい。娘さんは会社でも明るくて人気者だったんですが、なんとか振り向いてもらえまして。そうそう、娘さんはいつもお父さんの自慢をしてるんですよ。外人だから金髪で背が高くてかっこいいって」
「そ、そうなのか?あんまりそういうふうに私の個人情報を拡散するのは気が進まんな」
と、口ではいったものの思わず口元がゆるんでしまうではないか。

「二人は付き合っているということらしいが、真剣に娘のことを考えているのかね?」
「はい。真剣に考えています。おつきあいもいい加減なお付き合いではなく、結婚を前提に考えています」

「なに〜!結婚を前提だと!!ワシの目の黒いうちは娘を嫁になんて出さんぞ!!」

「おとうさん、おとうさんの目は、青いでしょ」

あぁ、娘がいよいよ遠くにいってしまうのか。


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