マガジンのカバー画像

読書の小部屋 ルポ・エッセイ

20
カテゴリ ルポ・エッセイ
運営しているクリエイター

記事一覧

『Audible 散歩哲学 よく歩き、よく考える』島田雅彦(2024・ハヤカワ新書)

自分専用ニッチを獲得できるエリアは現実世界だけにとどまらない。 架空の空間だって可だ。たとえばこのnoteなんかもそう。 新しく作ったクロシロアカはまさに私のためだけのニッチ空間(^^) この世のドコにも存在せず、しかし私の頭の中にだけはバッチリ存在しているという不思議空間だ。妄想の中で古びたブルーのドアを開けさえすれば、ニッチの小部屋にコンニチハ!・・・が可能となる。(※イメージです) noteって、いや、今の時代ってスゴイ。 島田先生の超アクティブな海外散歩&飲み歩きは

『渡部雄吉写真集 張り込み日記』

『世界仰天ニュース』を紙にしたみたいな写真集だった。 茨城県下バラバラ殺人事件。古い事件だから内容を全く知らない。ラストはどうなるのか、犯人は!?とドキドキしながらページをめくる。 昭和のデカらしくひたすら歩いて事件を追う男二人。 戦後の街と、タバコの煙と、ハンチング。 昭和のハードボイルド。 ***** 全然関係ないけど。好きな昭和。 172/200

『Audible 戦艦大和 復元プロジェクト』『アルキメデスの大戦』(2019・日)

戦艦大和を1/10サイズで復元するプロジェクト。 私には模型製作の経験がありませんが、そんな素人が聞いても、これが物凄いプロジェクトだということはわかる。 わずかな資料を道標にわかんないところは想像力で補って、現状考え得る限りの『ベストな形状』に大和を組み上げてゆく。 面白い技が紹介されていたのでメモっておこうと思います。 ~~~凄いッ!と思った。 モノの動線や配置の相互関係からその場に存在する合理を炙り出し、逆から辿るようにして答えを見出す。 人間って、人間ってスゴイ(

『Audible 桶川ストーカー殺人事件 遺言』

もしも、我が父の人となりを単語一つで表現しろといわれたら。 思い浮かぶフレーズは数あれど、やっぱり私はこれを選ぶ。 ストーカー 前科があるわけじゃないし『ぽい』だけなんだけど。 ストーカー風味。 ストーカー属性。 ストーカーの素質。 父の放つあのねっとりと危うげな、迷惑極まりない『ストーカーっぽさ』の正体とは? 今回は犯罪ノンフィクションをチョイス。 実際にストーカー認定されている人物と父とを比較し、共通点を探ってみようという試み。 被害者猪野詩織さんの元交際相手・小松

『Audible 硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』

小説のネタバレとは違うのかもしれないけれど、酒井先生の辿りついた「真実」については触れないでおきます。たいへん面白かったのでぜひ読んでみてどーぞ。 硫黄島返還後に編成された調査団には、陸海軍の元将校さんたちが選抜された。(なんていうか、納得の人選です・・・・) 彼らの残した記録が物凄く印象的だったので以下抜粋。 『硫黄島はあの世とこの世の境がない超常的な島』。 団員たちは以下のように訴える。 けじめをつけるっていうのは、やはり大切なことなのだ。 159/200

『Audible 藤井聡太のいる時代』

中学生で『平均への回帰』とかサラッと出てくるのはどーして!?(驚) うちの子はこんな言葉知っているだろーか。いや、絶対知らない。 没頭。集中力。負けず嫌い。 ご家族のサポートに、いい師匠。 継続。 聡太くんの天才列伝。 155/200

『Audible 社会を変える学校、学校を変える社会』

なんか凄いかたたちのようだ。おふたりともに。 やっぱり主体性が大切ってことみたいだ。 受け身じゃ弱い。・・・ってのはなんとなくわかります(^^ゞ 次はこれとこれ、読みたいな。 工藤先生ダンディ! これも。 138/200

『Audible ケーキの切れない非行少年たち』

帯のケーキがとにかく目をひく。 謎の三等分。これはいったい・・・・?? 最初は「なんらかのメッセージか!?」と思っていた。非行少年たちの心の叫び的な。 が、しかし。違うのである。ホントに切れないらしいのだ。非行少年たちの中には三等分の仕方がわからない子が結構な数いるのだという。 それがどんなふうかっていうと、たとえば・・・・ まずは丸いケーキに縦線をぴーっと1本。で、彼らはこの1本目を入れてからやっと次にどうするかを考える。 本来ならば「ケーキを〇等分しよう」とした場合、

『Audible ディズニーキャストざわざわ日記』

珍しいお仕事をされている方のエッセイって面白い。 ディズニーランドへは2回ほど行ったことあるが、たしかにあそこは夢の国だった(気がする)。とすればそれは、スタッフのみなさんが力をあわせて『夢の国』ってゆー素敵概念を守っておられるからなのだろう。 コンセプトがわかりやすいって大切。 136/200

『賢治と「星」を見る』

そういえば、昔のアニメ版はなぜねこだったのだろう。 気になって検索してみたところ、こちらがヒット。記事を読みつつ「たしかに・・・」と深く頷く。 自分は文字の銀河鉄道をきちんと読んだことがあっただろうか。 改めて考えてみるも覚えがない。 昔からこういう読み物があまり得意じゃなかったから、 『カムパネルラ、じつはしんでた(但しご遺体はあがらず)』 と脳内にメモして終わりにしてた可能性が高い。 謎と犯人さえわかれば満足。その後は読むのがめんどくさくなり、結局読まずに終わるのであ

『Audible 今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』

始まった瞬間からもう面白い、熱きますらおたちの日々(※乙女もいらっしゃいます)。 ぱやぱや先生による防大生のタイプ分類 1.英雄タイプ 2.溢れる愛国心タイプ 3.航空機のパイロット志望 4.地方の進学校出身者 5.親が現職の自衛官(カンピン) 6.苦学生タイプ 7.自衛隊生徒(自衛隊の高校バージョン)からの進学組 8.型破りタイプ だいたいこのどれかに分類できるのだとか。 個性的な方が多そうな印象(^^) 防大生の生活って過酷過多異世界戦前風味。 絶対に入りたくない

『Audible イラク水滸伝(第28回植村直己冒険賞受賞作品)』

こんなに面白い旅行記はなかなかないと思う! Audible1.5倍速で聴いても12時間以上かかるボリュームなのですが、途中で一度も飽きたりしなかった。 星5つ! ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ アフワールには古くから水の民(自称シュメール人の末裔)が暮らしている。加えてそこは『戦争に負けた者や迫害されたマイノリティ、山賊や犯罪者など』が逃げ込んでくる場所でもあるらしい(タイトルに『水滸伝』とつくのはこのため)。 バッタ先生のアフリカ記を読んだ時もそうだったのだけど、どうも向こうの

『Audible 給食の謎 日本人の食生活の礎を探る』

いちばん興味深かったのは『給食の歴史』ゾーン。 日本初の給食は、明治22年山形県鶴岡町(現鶴岡市)の大督だいとく寺というお寺の中に建てられた小学校で始まったのだそう。貧しい子供たちのために週6日、お坊様たちが無料で食事を出してくださるようになったのがそれ。 献立は、おにぎり、塩じゃけ、菜の花の漬物。 うわー、おいしそう。私ならお昼これだけでいい。 現代の基準からしてみれば品数は少ないし栄養だって足りてないのだろうけど、そこはそれ、時代の限界ってもんです。だって明治の話だ。

『Audible バッタを倒しにアフリカへ / S文芸部お題「朧月」

朧月とは無縁のワイルドな本を読んでおります。 それがこちら。『バッタを倒しにアフリカへ』。 バッタを愛しバッタに愛された男・前野博士による科学冒険ノンフィクション。inモーリタニア。 日本での発生は稀なようですが、世界には凄まじい蝗害を被る地域があるんですね。ハムナプトラの頃の話かと思ってましたが現在進行形でした。無知でごめんなさい。 この本、オーディブルで標準再生すると9時間以上かかるんですが、聴き始めると一瞬です。 アフリカ入りして早々、バッタ不在という不運に見舞