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【エッセイ】 台風と夏の終わり

 台風が夏を連れ去ったようで、涼しさではない、寒さが山を覆う。

 今年初、が多い今年という年ではあるが、この台風の威力もまた初めてのもの、風も雨も丸一日吹き荒れて、散歩道は落ちた木の枝葉に埋め尽くされる。そろそろ薪ストーブのシーズン、焚き付けを落としてくれたのか。

 それにしても、木々の上には人の知らない世界があるようで、青く小さなアケビだの、椎の実だのが、枝葉と運命を共にする、そこへひらりと蝶が飛んできて、これが見たこともない渋い金の蝶、いや待て、これは風雨に洗われ、色褪せたアカタテハではないか、野の生き物にその一日は耐えがたかったであろうと、思いを馳せる今日である。

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