【随筆/まくらのそうし】 胡桃(クルミ)
ヤギ小屋の際に植えたクルミが、なかなかの大木に生長する。
やはり、糞尿というものは、良い肥料になるらしい。
秋には実も成り、落ちたものを拾うのだが、採集民の血が騒ぐ、集めるときは死ぬほど楽しく、けれどそこからが地獄である。
洗い、乾かし、煎るまではいいだろう。そこから割って中身を取り出すと、これが重労働である。
オニグルミというやつらしく、まず、中身がほとんどない。だというのに、中を取り出すというのが至難の業である。何をしても砕け、粉になり、まともな粒が取れやしない。
そうして何とか取ったクルミの中身、かき集めても茶碗一杯、そのまま食べるのも難しく、パンに練り込み、クルミパン。
これがかなりの美味しさで、あっという間になくなるのだが、その美味しさを吹き飛ばすほどの面倒くささ、重労働。
しかし、また来る秋に、地面に落ちるクルミを見れば、採集民の悲しさよ、恐らく拾わずにはおれないのだろう。
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