【随筆/まくらのそうし】 李(スモモ)
スモモがある年、どっちゃと採れる。
完熟したのはそのまま甘く、若いものは酸っぱいが、早く採ってしまわなければ、翌々日は台風の予報。
色づいたものは、とにかく採る。
かくして、季節限定食べ放題、朝から晩からスモモを食べる。
取り立ては美味くて飽きないが、味変しようと、チーズと食べる。これが美味くて、たまらない。
しかし、このスモモとチーズ、生ハムメロンのようなもの、味は美味いと思っても、二の足を踏むような思いがよぎる。
果物は果物、料理にするのは何だか妙だと、日本人。
そう思いながらスモモで食べ、スモモチーズで食べ、とするうちに、籠のスモモはあと僅か。
来年もこれほどの実が成ると、そんな保証はどこにもない。
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