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葛花

 順序としては、その高い木の幹に巻き付き、樹冠へ到達したものが、さらにその葉を茂らせるべく、隣の少々低い木の枝へとツルを伸ばしたものである。

 これが葛のツルであり、そのツルには葉が等間隔、同じ方向へ付いているという様子、これがまるで葉の階段のようであり、さすれば、その先にあるのは小さなツリーハウス、リスやら鳥が集まって、音楽会でも開いているのではないだろうか、そんな愉快な想像を呼ぶ、葛の葉の階段である。

 そこら中に大繁殖、厄介者の葛ではあるが、夏には赤紫色の花、線香花火とは逆の手順で、花穂の元から先へ咲きゆく姿、秋来たる日を指折り数えているようで、夏も過ぎゆくと思わせる、何とも風情のあるものだ。

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