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不審者になりたい願望。

町の変なおじさんに少し憧れている。

近所で有名なおじさんになりたい。

人に迷惑をかけるのはいけないが、そうでなければ周りから「またあの変なおじさんいるよ」とヒソヒソされるのはとても気持ちがよさそうだ。

新宿でよく見かける全身ピンクの服ででピンクにデコレーションされた自転車に乗っているおじさんとか、すごく良い。
俺ももし芸人になっていなければ、あの人のように自己顕示欲を満たしていた可能性は高いだろう。

珍しいと思うが、俺は身内にそっち側の人がいる。
俺の叔母さんはめちゃくちゃでかい青色の秋田犬を飼っていて、近所の小学生からは「オオカミババア」とあだ名をつけられているのである。

まあ叔母さんの場合は別に自己顕示欲を満たしたいわけではなく、ただ飼い犬を散歩させているだけなので少し気の毒だ。

だが、俺的にはかなり理想に近い。

周りに迷惑もかけず、近所の子供達からはあだ名をつけられているというのが良いのである。

俺がやるとすれば、近所を和服で徘徊するとかだろうか。
髪もロン毛で纏めているので、小学生から「うわ、サムライだ」とか「細いお相撲さんだ」とヒソヒソ言われるだろう。

積極的に小学生には話しかけていくつもりだ。

どこのおばさんかわからないが、学校帰りに「おかえり〜」と言ってくるおばさん。
アレにもなりたいのである。

きっと小学生たちの間で「昨日サムライに話しかけられた!」と話題になるはずだ。

問題点は、普通に不審者として通報される可能性もあることである。

やはり今の時代、あまり子供に話しかけたりするのは良くないのかもしれない。
そもそも俺は地元が田舎だからセーフだっただけで、都会では昔からアウトだった可能性もある。

俺は昔から目立ちたがり屋だったが、一歩間違えばただの不審者になっていた可能性もあるということだ。
改めて芸人になってよかった。

逆に芸人じゃない人はどうやって自己顕示欲を満たしているのか不思議である。
多分YouTubeとか、SNSとかそういうもので活動している人もみんな俺と同じなのだろう。

不審者とインフルエンサーは紙一重なのだ。

逆にインフルエンサーはもれなく不審者予備軍だし、不審者にはインフルエンサーの素質があるということでもある。

近所の変なおじさんも産まれる時代が違えばインフルエンサーになっていたのだろう。

それならば俺が変なおじさんになりたいのも、当然のことなのだ。

おしまい。

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