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花立山は星への祈り

花立山名前の由来(試論)

花立山は福岡県南部小郡市と筑前町の境にある神奈備山である。全山が古墳である。小郡市側だけでも300基はあり、筑前町を加えると1000基とも言われる古墳群がある。また、北東部に九州最大級の前方後方墳があり、日子神社をはじめ彦星(忍穂耳)一族を祀る神社群が集中している所でもある。

 普通は、権現山(英彦山権現)と呼ぶが通称は「花立山」なのである。名前の由来はとんと分からなかった。奈良に知り合いが出来その中で「天道花」という行事があることを知った。「関西から西の地方では4月8日に 細長い竹竿の先にツツジやヤマブキなど、 季節の花を挿して門や家屋の上に立てる風習が一部に残っています。 これは兵庫では高花、大阪では立花、 奈良では八日花、その他の多くの地域では天道花と呼ばれる」とある。

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農事に先立ち山に入り豊作を願う

 潅仏会とは別に、四月八日には作物の豊かな実りを願う 農業儀礼が行われます。これを「卯月八日」の行事といい、 その習わしには地域によりさまざまなものがあります。  たとえば、西日本の各地には「天道花」といって、竹ざ おの先に山に咲く花を結びつけて、庭先に高く掲げる風習 があります。この花は、つつじ、石楠花、藤、山吹など、 野遊びの際に摘んできたものが使われます。天道花には、 神の籠もる山から豊かな実りを感じる花を持ち帰ることで、 田の神様が降りてくる依り代とする意味があります。  奈良県には、この天道花を、モチツツジの花を使って竹 ざおの先端に十字にくくりつけ、さおの真ん中には一本の 花を、さおの下には竹籠を結びつけたものを作り、七口の 夕方に立てる風習があります。 上の花は月に、真ん中の花は星に供えるものとされます。

 天道神社の「天道花神事」は毎年、5月17日に行なわれる。おはぎ(元は赤米)が出てくる。(京都) 春日大明神が祭られていますね。

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天道神社:祭神は天照大神、左右に八幡大神、春日大明神の三柱

【山の神・田の神】
「四月八日を中心とする春山入り、花祭は、里人が山の神を送つて田の神を迎え、以 後の田始めの契機とすべき重要な折目としての行事であつた。(和歌森太郎)

歌垣は婚活

 国見、末迎え、七種粥などの正月行事は、春山入りにおける花見または国見、花迎え、柴刈り、 春菜摘みなどの変化であり、また歌垣的な正月行事の行われている地方も皆無ではない。(土橋)

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           畠田の田の神(大隅)

山遊びは成女式

 卯月八日の山遊びや山登りには成年式や成女式の意味があったといい、女子は山籠りする ことで結婚の資格をもった一人前の女となり、山から降りる時に成女のしるしに挿頭花を挿してきたの だと述べている(五来 1979)。この神の依代の花で作った髪飾り(はね鬘)を竿につけて立 てたものが纒頭花(てんとう)とよばれ、のちに誤って天道花となったのだという。 「国見、黒園笹尾の嶽よ、三度参れば妻たもる」の歌があって、タケマイリは若者に結婚の機会を 与えるものでもあった。
参考文献:花祭りと春山入り(飯島 吉晴:天理大・民俗)

 花立山は、他にもあり、花立山麓 黒澤神社 大己貴命 山形県最上郡最上町大字黒澤 また立花山山麓(福岡市東区)には、 鷲尾大権現(祭神不明) 、川上神社(川上大明神・香椎末社) 新宮 速玉男 豊玉姫 玉依姫 伊弉諾 事解男 六所神社 天照大神 賀茂 春日 宇賀 熱田 木船(貴船)がある。 花立山、花枝山などは神々に花を供える山なのだという。因みに田の神様=大幡主(兄)、山神様=大山祇(弟)と伝えられています。米を伝えた神様です。
 なんと美しい風習ではある!九州に残されなかったのが残念だ。「山遊びや山登り」してみたかったなあ!
 彦星(春日)は星の神、花は星に供えるものだったのである。花立山は、文字通り彦星にぴったしの山何故だれも教えてくれなかったのだろう。かくも良い名前なのに。

【追記】20/4/12

《天道日女命》について

 奈良を含め愛媛県などに、天道日女が祀られている。諸説あるが「天道日女との間に天香語山(天香久山)が生まれた」(『先代旧事本紀』)と言われる。これから天香語山は、櫛玉姫(活玉依姫)の子であることが分かる。

活玉依姫は、市寸嶋比売命(七夕姫、彦星妃)-大山咋と繋がる、彦星の孫つまり「星の神」と見事につながる。星が繋げる古の神々である。七夕姫の孫天道日女は、お祖母ちゃんの教えを伝え星々への祈りをしていたんですねえ!


 彼女を祀る神社に櫛玉比賣命神社等がある。愛媛県北条市高田。
 祭神:天道姫命 配祀 御炊屋姫命(父:事代主、別名:櫛玉姫命、長髄媛)

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           櫛玉比賣命神社(松山)

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櫛玉比売命神社(奈良)

櫛玉比売命神社(奈良北葛城)
祭神 天道日女命
末社
 拝殿の右手に末社4宇が並ぶ。左から
  ・八幡社(品陀和気命)春日社(天津児屋根命)合祀社
  ・皇大宮(天照皇大神)
  ・稲荷社(天河弁財天から勧請)※これからも繋がりが分かります。
  ・熊野社(熊野権現)白山社(白山比咩大神)合祀社

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          延年の舞・花折(平泉の毛越寺)

延年の舞・花折

奥州平泉の毛越寺に少し変わった「天道花」が伝わる。「延年の舞・花折」である。この花折の舞は春の「藤原まつり」で舞われる。藤原とは勿論彦星(春日神)の末裔である。ここには、なんと「稚児舞」として伝わるのである。桜の花を背中に挿して舞う。


毛越寺の説明に気になる箇所があった。「花折と王母(おぼ)ケ昔の二曲が伝えられており、一曲ずつ干支隔年に舞うことになっています。花折では、当山四方の山河を愛で、千秋万歳の長保楽を取り入れて舞います。王母ケ昔では、シテが「吾は是れ天台山の傍に年来住める仙人にて候」と名乗り、桃花のいわれを語り、先年の春を寿ぎ、地謡に合わせて舞います。」
 王母と言えば西王母、八代のお祭りにも登場する文字通り女仙人、織姫と彦星を別れさせ年一回しか合わせなくしたのは彼女である。なんとまあ東北にまで繋がるんですかねえ!

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