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一四零の庭苑 1巻 完結

1,000
X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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詩「一枚の絵」

一枚の絵がある 僕は随分と眺めている 時間がどれくらい経ったのかすら曖昧になってきた 引き込まれる 感情が揺さぶられる 瞬きすら惜しい 絵に触れる気はないけれど 絵は僕に触れた 刹那 溢れ出す 荒れ狂う 僕の全身が感受性の獣になったようだ 藻掻く 誰か僕を絵から引き剥がしてくれ

詩「文字化け」

文字をひとつ 意味があるようでない 文字をふたつ 言葉になった 重ねる 重ねる 文字が文章になった これは何だ どうしたものか 文章が感覚になった 状況を伝え 感情を伝え 化けものだ それでもその化けものは生きる 生きて 生きて それなしでは生きられず 気付けば誰かと手を取り合った

詩「ベルベットの夜空」

ベルベットに星を散りばめた夜に 空を見上げ微笑んで 風は少し冷たく頬を撫ぜられ冷やっとした 澄んだ空 澄んだ空気 ベルベットの夜空は私を連れ出してくれる 今日向かう世界は あの空の向こう側 あの道を行くのだろうか あの森を越えるのだろうか 物語が始まる予感 私は震えた

詩「生きてさえいれば」

生きてさえいればいい 生きてさえいてくれればいい 生きてさえ 耳に入ってくる言葉 分かるんだ意味は そう、誰かに当てて必死でこの言葉にすがる その誰かは大切な人なんだ そう理屈では分かる 人としても理解している けれどもその言葉が自分に向けられたら 言いようのない辛さ

詩「夢のような日々」

夢を見ていた プカプカと空に浮んでいた もう目を開けたくはないというような心地 志中半で折れたポッキリ行った 志なぞ持つものじゃない これは夢なのか 嗚呼、夢さ そうだな、志と共に歩いた日々は夢のようだった これが人の幸せかと思える程に 夢のような日々 もう一度、立てるか

詩「僕の星」

自分の瞬きに意識が行き 心の中は月も星もない夜空 ため息さもつけずにいる 瞬きの間に夜空を見て思う 空には煌めく星 僕の心には闇 足下は泥沼で沈んで行く感覚 声も出ないのに唇が少し開く 美しい夜空 月は僕には眩しすぎて 小さな星を目に映した 僕の星 心の中で呟く 僕の中の闇 星一つ

詩「ペン一本」

そのペン一本で何が出来る そのペン一本にしがみついているだけだろう いい加減気付けよ そんなにそのペンが大事か そんなにそのペンを握り締めて ペン一本 そのペンで世界が変わるのか そのペンで世界に何か起こるのか そのペンはなんだ 僕には分からないね 君はそれでもペンを離さない

詩「ここにいる」

ここにいる 空気じゃない ここにいる 透明じゃない ここにいる 影じゃない ここにいる 大地に足を付け踏ん張っている 辛くても歩く うずくまっても立ち上がる ここにいる 気付いて 難しいことじゃない こっちを見て 声が聞きたい 触れて欲しい 抱きしめて ここにいる 冷たい 寒い 誰か

詩「人ひとり生きる」

昨日は生きて送った 今日は今を生きている 明日は…そうだな、明日も生きていたい 人ひとり生きる 何気なく送る日々 時に真剣に悩む 生きて悩む 生きていることが幸せだと思う 人ひとり生きる 前を見て坦々と進んだ 気付けば足下を見て人生が重く 顔が上げられない それでも進もう

詩「あと少し」

あと少し ほんの少しで届く それは願望かな それは願いでしかない あと少し 頑張ればいいんだ 出来る やれる やり切る あと少し きっとそうなんだ 多分、合ってる あと少しなんだ いいや違う そんなことはない 先が見えない 見通せない 本当にそれだけなのか もし違ったら あと少し あと

詩「見えなくなった」

見えなくなった 真っ暗だ 何一つ無い 救いは静寂 考えろ 感じろ 声は何処なんだ 響け 僕の世界は何処なんだ 上は 下は 左も右もありはしない 埋もれるのか 出られるのか 作れ 作り出せ 僕の世界を作り続けるんだ 死ぬまで そうさ、死ぬまでだ 僕が僕に言う 聞こえるか 世界を作れ

詩「思いを乗せて」

思いを乗せて 言葉を紡いだら物語になった 思い乗せて 口ずさんだら歌になった 思いを乗せて 描いたら絵になった 叫んだ 心から声が溢れたんだ 苦しいことも悲しいことも 嬉しいことも楽しいことも 僕から溢れ出した 死んでもいい 両手を広げて空を抱きしめる 胸が熱い これが僕だ

詩「届く物語」

芸術には国境が無くて 言葉には国境がある けれども物語には国境は無いんだ 届く きっといつか届く その物語は誰かの元へ行く 誰かの胸に刺さるんだ 本という扉を開いたら 君は一緒に出掛けるんだ 楽しかったかい 愛を貰ったのか 嗚呼、一緒に泣いたんだね 聞かせてよ 君に刺さった物語

詩「そこに空があるから」

そこに空があるから 叫んだ そこに空があるから 泣いた そこに空があるから 両手を広げた 空を抱きしめる 空に抱きしめて貰う 満足だ 胸が一杯だ そこに空があるから 人は息をする 人は生きて行ける そこに空があるから 人と人が繋がる 「そこに空があるから」 「嗚呼」 叫ぶ