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一四零の庭苑 1巻 完結

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X(旧Twitter)で毎日書いている140文字以内の短い詩たちです。 全1000話の第1巻となります。 マガジンのタイトルの意味は、X(旧Twitter)で140文字内で書いて…
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2023年10月の記事一覧

詩「私は幸せです」

私は幸せです 私は幸せです 私は幸せです 三回言った 本当に幸せです 本当に幸せだと思います 本当に幸せな方だと思います 私は何を考えているの 私の幸せて何 漠然 焦燥 沈黙 私は何 幸せて何 分からない どうしよう 混乱 不安 憂鬱 「考えては駄目」 私は幸せです 嘘と本当 噤む

詩「君の命の輝き」

君は命の輝きを見たことがあるかい 「ない」と即答する君に伝えたいんだ 話しをしよう その前に僕を見て 僕の命の輝きは見えたかい 君は馬鹿げていると僕を笑った 僕は悲しい けれども君、僕には見える 君と交わす言葉の全てから 君の話す仕草から 君の命の輝きが見える 凄く綺麗だ

詩「君の言葉とあたしの言葉」

「秋だね」と君が言う 「そうね」とあたしは答えた 君が紅葉の葉は黄色いと言うから、あたしは赤いと言った そうね、紅葉の葉の色は目に見えるわ 君が「秋は淋しい」と言う あたしも「淋しい」と言う 君と話せば話すほど食い違うの どうしたらいい 君の言葉とあたしの言葉

詩「因果応報の海」

因果が漂う 無数の因果が漂う それを手に取るか 恐ろしい 恐ろしい 誰の因果だ 何処から来た因果だ 匂うな ああ、匂う 手に取るな 手に取るな 因果応報の海に手を出すな 流れる 流れる 波間に因果 ああ、来たか 時が来た 因果応報の時が来た 報いだ 報いだ 知らぬと通せ 因果を通せ

詩「友」

ねえ、聞いてよ あたしには友が必要なの そして君にも友が必要なの 「分かる?」 でも口に出したからって、友が天から降って来るわけじゃなし 悩むわよね あたしも悩んでいるのよ 『急にどうしたのか』と聞かれそうだけれど あたしも急にどうしたのか分からないわ 「淋しいのかしらね」 君は?

詩「闇を行く」

一歩を踏み出した 次の一歩が出ない 自分の足下さえ見えない 膝は突きたくない 膝を突けばなし崩し 今よりももっと 今よりも何倍も 再び立ち上がって 再び一歩を出す どれくらい時間が掛かるんだ 周りは闇、闇、闇、闇 一歩を踏み出したまま妄想が憑く 急げ 駄目だ、慎重に行け 闇を行く

詩「去る勇気」

あたしね、去る勇気がないの ここをさ、去る勇気がなくて ふと見上げてしまうのよね、空を 空はあたしが見上げても何も変わらない そんなことは分かっているわ あたしの中の理性が分かっているのよ それをあたしが感じるだけ 人は愚かね ほんの少しの勇気が出ない あたし、ここを去るわ

詩「潤い」

あたしもあなたも生きている 「ねえ、潤ってる?」 あたしは、全てのものから潤いを奪うのよ ちょっと大物ぶったわね なんというか、説明するわ 芸術、音楽、文学 自然と生きとし生けるもの そうね、人も入るわ それに「触れるのよ」 そこから「摂取するのよ」 潤いは世界の全てから奪えるわ

詩「春夏秋冬」

風が撫でる 風が通り過ぎる 春夏秋冬 季節が来る 目にも鮮やかで 人の心に響く 何気ない日常のはずが 人として生きた刹那 色を添え 無い形を在る形に 有る形を過去と想い出に変えて 春夏秋冬 通り過ぎる 人には瞬きのような 四季には歩みのような 人が人に繋ぎ歩みを進めれば 後世に染み

詩「死人のように」

僕は死人のように生きる そうさ死人のようになる だから僕の魂も心も此処には無い 死人は口なし 僕は喋らない 死人は聞こえない 僕に何かを伝えても無駄さ 死人は見えない 僕は何も見ない そうやって生きる それは生きていないて? 当たり前さ 死人のようなのだから 僕は生きた死人

詩「人はね、腐るのよ」

人はね、腐るのよ 死んでからのことじゃないの そうね、生きていたって腐って行く 可笑しな話しでしょう でもね、本当の事だから 皆気付いていない いいえ、気付かぬ振りをするのが得意なの あの悪臭が鼻に付くのにね 悪臭を撒き散らす人間ほど大手を振って歩くわ フフッ 道化ね

詩「居場所」

僕には居場所がないんだ 探す 歩く 止まる 周りを見る 右も 左も 前も 後ろも振り返る 居場所なんてない いい加減疲れたよ それでも居場所を探すんだ 来る日も来る日も 毎日毎日 僕の居場所は何処にある 「君、知ってる?」 そんなこと空に向かって聞いても仕方がない 居場所て必要 必要?

詩「夜空」

夜空を見上げ星を美しいと思い 夜空を見上げ月を美しいと思い 美しさが眩しいと胸の奥に仕舞い込む 瞬きをする度に歓喜が溢れ 情熱の炎が宿るように熱くなるこの身を抱える 気付けば静寂の中に佇み 僅かな身動きで風を感じた 夜の風は冷たい 星の色も冷たく 月の色も冷たく けれども美しい

詩「天才」

あたしが宣言して上げる 君は天才よ 「馬鹿な」 「嘘つけ」 「ありえない」 まあまあ、落ち着きなさいよ もう一度言うわ 君は天才よ 「根拠は」 「冗談だよね」 「からかってる」 まだ疑うのね そうね、そこまで言うならもう少し教えて上げる 天才と普通は紙一重なのよ 全て君次第で変わるわ